谷ゆうじ 議会活動の軌跡〜8つの視点〜
家具転倒防止器具の設置率を 向上させる取り組みについて
質 問
 1点目は、補助制度の実績と今後のあり方について。大津市は地震発生時において、家具の転倒による被害を最小限に抑えるため、65歳以上の一人暮らしまたは高齢者のみの世帯を対象に、家具の転倒防止器具を無料で設置する事業を実施している。事業初年度の平成22年度においては、137世帯の木製家具に転倒防止器具が設置され、最終年度となる本年度においては、8月の募集期間終了時点において223世帯から申し込みがあったが、見込んでいた500世帯に満たなかったため、10月には追加の2次募集が実施される予定となっている。高齢者を対象にした防災施策の推進に寄与する事業であると評価をしているが、壁などに穴を開けて設置する方法であることから、家屋の所有形態や構造等が要因となって制度を活用できない世帯もあり、また、家具に穴を開けたくないという理由から、キャンセルされる世帯もあったと伺っている。大津市は当初予定していた件数よりも、申し込み数が低迷している要因をどの様に分析されているのか、本市の見解を問う。

 現在、家具転倒防止器具の助成事業は全国で様々な形で実施されており、東京都市長会及び町村会においては、震災時における人的被害を最小限に抑えることを目的に、平成21年度から23年度の3ヵ年で、全世帯の5%にあたる世帯に家具転倒防止器具を設置することを計画され、事業最終年度となる今年度は、東日本大震災の発生をうけて、設置目標数を10%に引き上げられた。視察に訪れた府中市においては、突っ張り棒や家具転倒防止板等、家具を傷つけず、取付けが煩雑でない5種類の転倒防止器具を支給対象とされ、それぞれにポイント数を設定し、上限とするポイント数まで支給が受けられる方式を採用されている。不足する分については、自己資金での購入を希望される世帯も多いと伺い、地震対策への注意喚起をおこなう上においても有効な事業であると感じた。また、65歳以上の一人暮らしまたは高齢者のみの世帯等を対象とした取付けの支援も実施されており、現時点において、設置目標数であった全世帯の10%を越えたと伺っている。

 平成21年度に内閣府がおこなった「防災に関する特別世論調査」によると、大地震に備えてとっている対策のうち、「家具や冷蔵庫などを固定し、転倒を防止している」と回答のあった割合は約26%という低い結果であった。しかしながら、平成22年度に東京消防庁が作成した「家具の転倒・落下防止対策ハンドブック」によると、近年発生した大地震では負傷者の約3割から5割の方が室内における家具類の転倒、落下物によって怪我をされており、家具転倒防止器具の設置率向上は、本市においても喫緊の課題であると考える。高齢者のみの世帯を対象にした家具転倒防止器具の補助事業は本年度で終了となる予定であるが、今後はより簡易に設置できる器具の採用も検討し、対象となる世帯も拡充して事業を実施されてはと考えるが、本市の見解は。

 次に、防災管理対象物における取組みと公共施設における取組みについて。地震等の災害による被害の軽減を図るため、消防法令で特に必要と定められた用途で、一定規模以上の建物については、防災管理上必要な業務の実施が義務付けられている。このうち、管理権限者から選任された防災管理者は、地震発生時における家具類等の移動、転倒及び落下を防止するための措置をはじめ、地震による被害の軽減に関する事項等を、防災管理に係る消防計画に定めなければならない。平成21年6月に改正消防法が施行されて以降、大津市消防局管内における防災管理対象物においても、防災管理点検資格者による点検が実施され、報告書の提出があったと理解している。家具類等の移動、転倒及び落下を防止するための措置状況について、大津市消防局はどの様に評価しているのか。大津市が保有する施設を含めた見解を問う。

 また、大津市が保有する施設については、地震発生時における施設利用者等の安全を図る観点から、消防法の適用をうけない防火対象物についても、家具類等の設置状況についての実態調査をおこない、必要な措置を講じるべきである。行政が率先して家具等の転倒防止に取組むことは、市民への啓発にもつながると考え、見解を問う。
答弁:健康保健部長
 家具転倒防止器具の設置の申込が当初予想したほどに伸びない要因について。確かに、壁や家具に穴の開く問題もあるが、内閣府の「防災に関する特別世論調査」によると、家具を固定しない理由の第1位は「面倒だから」というものであり、やはり防災に関する市民意識の低さが大きく背景にあるものと考えている。

 対象となる世帯の拡充については、平成22年4月に施行された大津市防災対策推進条例においても、家具の固定など、身近な地震対策を行うことは、まず市民自身の役割として規定されている。こうした中で実施したこの事業は、自力で器具を取り付けることが困難である高齢者世帯を対象として、その安心安全な生活環境を確保するため、緊急雇用創出特別推進事業費補助金を活用して2年限定で取り組んだものである。予定どおり、今年度限りで事業を終了することとし、来る10月の2次募集に全力を挙げていくが、今後は広く市民の防災意識の向上を図っていくことが大切な課題であると感じている。

答弁:消防局長
 防災管理制度については、大規模高層建築物等における地震等の災害による被害の軽減を目的に制定されたものであり、消防局としては、該当の37事業所に対して防災管理に関する必要な指導を行っている。各事業所における防災管理の状況については、該当事業所の35事業所から防災管理に係る定期点検の結果報告書が提出されており、この中には、市役所と市民病院が含まれている。また、家具類等の移動、転倒及び落下を防止するための措置、いわゆる転倒防止対策については、定期点検の結果報告書によると、うち9事業所において不備がある旨の報告がなされている。このうち、市民病院において一部不備があるとの報告を受けているが、現在、管轄の消防署の指導により、順次改修が進められているところである。消防局としては、定期点検結果の適否にかかわらず、すべての該当事業所の関係者に対し、地震による被害の軽減を目的とした転倒防止対策の重要性を具体的に説明させていただき、意識啓発を図り、防災管理体制の強化に努めていく。
答弁:総務部長
 市役所が率先して家具類等の転倒防止施策を行うことは、防災事業推進に大きく寄与するものとの考える。まずは庁内の政策監、次長級で組織する危機防災連絡調整会議を通じて実態調査をおこない、必要な措置を計画的に進めていく。