谷ゆうじ 議会活動の軌跡〜8つの視点〜
土砂災害計画区域の指定が庁舎整備計画に与える影響について
質 問
 1点目、土砂災害計画区域の指定が庁舎整備計画に与える影響について。平成28年11月14日、大津市は庁舎整備を目的として隣接国有地7,464.37uを取得しました。汚染土壌対策が必要な土地であることから、平成30年度内に埋設物除去工事と汚染土壌撤去工事を完了させる方針が示されたところであり、平成28年11月補正予算においては、対策工事に向けて調査設計費が計上されたところです。隣接地を活用して庁舎整備を行うに当たっては、当該土地が熊野川土砂災害警戒区域に指定されていることも計画に大きな影響を及ぼします。大津市においては、指定解除の可能性について検討を重ねられ、平成28年8月には大津市長から滋賀県知事に対して、隣接地を対象とした個別解除の可能性や対策工事の内容などについて照会がなされましたが、敷地の盛り土工事や掘削工事については、周辺地域へのリスク増大やその効果について指摘がなされるなど、期待する回答を得ることはできませんでした。建築行為そのものを制限する規制はないものと認識していますが、建築敷地が土砂災害警戒区域に含まれることを前提として庁舎整備を進めていかなければなりません。大津市は、指定による影響をどのように評価されているのか。

 2点目、土砂災害計画区域に中消防署を設置することの妥当性について。大津市地域防災計画には、災害時における消防活動を迅速に遂行し、人命の安全を確保するためには、消防力の向上に加え、まちづくりそのものを消防活動に留意したものにしていく必要があること、また、地域の防災性を向上させる見地から、建築物の防災機能の向上策として建物の耐震化、土砂災害対策を推進し、建物の倒壊等に対する予防を図るとともに、消防活動の安全性を高めることが記されています。庁舎機能のうち、大津市消防局中消防署については、消防車や救急車といった緊急自動車が配備されていること、また、大津市災害等対策基本条例において市民の生命、身体及び財産を災害及び危機から守る公序の担い手として、災害及び危機に備え、迅速かつ組織的に対応することができるよう基本となる計画を策定するとともに、その対応を行うために必要な体制を整えることが市の責務として定められていることからも、土砂災害計画区域に指定された隣接地に設置することはふさわしくないと考えます。
 大津市消防局は、防災活動及び災害応急対策の拠点としての機能を適切に発揮させるという観点から、国から取得した隣接地に消防署を整備する可能性についてどのように評価しているのか伺います。

 3点目、合併特例債を活用した庁舎整備について。平成27年12月に公表された新棟整備スケジュール案は、合併特例債の発行期限である平成32年度を視野に入れて作成されており、今年度においては、基本計画と基本設計が予定されていました。事業費の95%に充当でき、将来的には元利償還金の70%が普通交付税で措置されることから、一般財源ベースで考えた場合、市の財政負担額は活用しない場合と比較すると、およそ事業費の3分の1で整備することが可能となります。財政負担に与える影響を軽減させるためにも、耐震性能を有する庁舎整備に向け、取り組みを加速させる必要がありますが、今年度においては、基本計画に必要となる予算の計上が市長の査定により見送られています。
 市長は、平成28年2月通常会議の時点において、土砂災害計画区域の指定に対する対応や国有地内の土壌汚染処理のあり方なども検討する必要があり、現在、整備スケジュールについて明確に示せる状況にないと答弁されています。その上で、行財政に与える影響を勘案しながら、合併特例債の活用以外にも財政負担を軽減できる交付金や起債等の有効な財源や手法の調査検討を今後とも深め、安全な庁舎整備を目指していく見解を示されましたが、これら調査検討による結果は、合併特例債の活用による財政的効果と比較してどのようなものであったのか。土砂災害警戒区域については解除に至らず、また、土壌汚染についても対応方針を明らかにされたことから、今後の整備スケジュールとあわせて、改めて見解を伺います。

 4点目、大津びわこ競輪場跡地への中消防署移転について。大津市役所本館棟及び別館棟においては、市役所庁舎として必要とする耐震性を有しないまま、すなわち機能空間の確保が図られないまま今日を迎えています。
 ただいま投映をしております資料は、平成28年3月23日開催の公共施設対策特別委員会で配付されました整備方針案です。本館につきましては免震工法、別館棟は取り壊して新棟を整備するという方針が示されたものの、技術的な検討は遅々として進んでおらず、基本計画のめどすら立っていないのが現状です。広場と書いておりますところに、今の別館が建っております。加えて、大津市は国から取得した隣接国有地に指定された土砂災害警戒区域の指定解除を目指し、滋賀県と協議を重ねていきましたが、平成28年8月31日付で発出された滋賀県知事から大津市長への回答によって、敷地内における対策工事では解除に至らないことが改めて確認をされました。
 庁舎全体の整備計画を進める上において最優先に取り組むべきは、中消防署移転用地の確保であると私は考えます。先の質問でも申し上げましたが、土砂災害警戒区域の指定された敷地に消防署を整備することは、消防庁告示、消防力の整備指針を踏まえても適切ではありません。隣接地に新たな消防棟を整備する計画に変わりがないのであれば、合併特例債の活用によって将来にわたる財政負担の軽減を図るべきであり、そのためには早期に移転方針を決定しなければなりません。これまで進められてきた政策の転換が必要となりますが、30年先、50年先の安心・安全なまちづくりを見据え、以下の理由をもって大津びわこ競輪場跡地の一部を中消防署の移転用地とすることを提言いたします。

 一つ目の理由は、敷地条件の有意性です。現在、大津市消防局は、各種災害発生時の相互協力体制の強化を目的とする陸上自衛隊との消防活動相互支援協定の締結に向け、大津駐屯地と調整を進められています。中消防署の敷地が近接することにより、より緊密な協力体制の構築が期待できるとともに、柳が崎湖畔公園に設置された桟橋を活用することによる消防艇のより効果的、かつ効率的な運用、また地震防災対策特別措置法に基づく第1次緊急輸送道路に面していることから、災害直後から発生する緊急輸送を円滑に行うことが可能となります。
 二つ目の理由は、都市公園法に基づく供用が開始されていないからです。当該敷地は、昭和18年に近江神宮外苑公園として計画決定されて以降、これまでに計画決定の変更を重ね、現在は15haを有する都市基幹公園に位置づけられています。このうち都市公園法に基づき柳が崎湖畔公園として開設されている面積は、約4.5haであり、大津びわこ競輪場跡地については、この範囲外となっています。すなわち都市計画法の適用しか受けないことから、中消防署として確保する敷地については、必ずしも代替地を確保する必要はありません。また、現状においては、都市計画法第53条の規定に基づき、建物の階数や構造に関して建築制限がかかりますが、国土交通省が策定する都市計画運用指針が示すように、将来の都市像を踏まえ、土地全体あるいは影響する地域全体としての施設の配置や希望との検討を行い、その必要性の変更理由を明らかにすることで、当該都市計画の見直しは可能と判断するものです。
 現在、次期大津市緑の基本計画策定に向けた検討が進められていますが、大津びわこ競輪場跡地については、防災機能の充実を目指した防災公園と位置づけることも視野に入れるべきと提言するものです。
 3点目の理由は、大津びわこ競輪場跡地公募型提案貸付事業の進め方に問題があるからです。
 現在、大津びわこ競輪場跡地については、民間事業者のノウハウと資金による利活用を実現するという方針のもと、審査委員会を市長の附属機関として設置するための議案が11月通常会議に提出されましたが、学識経験者2名、弁護士、公認会計士及び行政職員3名、大津市職員で構成する案が示され、私は愕然としました。大津市附属機関等の設置及び運営に関する指針は、市の意思決定過程の透明性の向上と公正の確保を図るとともに、市民の市政への参画を一層促進することを目的として、附属機関等の設置及び運営に関し、基本的な事項を定めています。
 9月23日に行われた生活産業常任委員会での説明においては、市民代表の委員も選出する予定が示されたにも関わらず、提出された議案においては、委員の過半数を執行機関の補助職員である大津市の職員が占める組織となっています。
 なお、平成28年11月1日時点においては、大津市が設置する附属機関は109存在しましたが、市の職員が過半数を占め、なおかつ関係団体からも委員が選出されていない附属機関は、大津市公務災害補償等認定委員会のみでした。
 ちなみに、平成28年10月28日開催の第3回競輪場跡地利活用あり方庁内検討会の時点においては、市の職員の委員数は1名と予定されていましたが、同年11月17日に開催された第4回目の検討会においては、当該事業についてはPFIの要素が強いものの、新たに設置する施設については、どのような施設が整備されるか提案次第であり、かつ、その提案を選ぶことについては、政策的判断をする予定が多いことなどから、3名にすると説明がなされています。
 このような人選では、あらかじめ定められた評価のポイントである、一定規模以上の多目的広場、公園の整備、地域貢献、周辺地域への一体性の配慮、防災機能の確保は、いずれも地域のまちづくりに多大な影響を及ぼす項目であるにも関わらず、地域住民やまちづくりに取り組む各種団体の意見は、審査に直接反映されません。市長の補助機関である市職員が地域住民の意向を踏まえることを前提とするのであれば、そもそも執行機関から独立して附属機関を設置することの意義が問われることになります。9月通常会議において防災機能の確保に関する情報が公文書公開請求によっても開示されなかったことを問題視しましたが、一体この組織のどこが、市の意思形成過程の透明性の向上と公正の確保を図るとともに、市民の市政への参画を一層促進することを目的とし設置される附属機関なのか、到底納得のいくものではありません。
 平成28年2月通常会議において、既存建物の解体撤去が民間事業者の負担で実施可能であったとしても、当該事業によって行われる中長期的な土地利用が周辺地域と一体となったまちづくりに良好な影響を与えるものとならないのであれば、競輪場跡地の利活用に対する方針を見直すべきと提言をいたしました。遅々として進まない庁舎整備計画の現状と、合併特例債が活用できなかった場合における財政負担を鑑み、中消防署の移転候補地として改めて提言するものです。
 それぞれの理由に対する評価とあわせ、大津市の見解を求めます。

答弁:総務部長
 土砂災害警戒区域の指定が庁舎整備に与える影響についてでありますが、庁舎隣接地を含む土砂災害警戒区域等の指定解除については、8月31日付で滋賀県知事より、明らかに土石流が到達しないと認められない限り、指定解除はできないとの回答がありました。このことから、旧国有地については、土砂災害警戒区域に含まれることを前提として、今後の利用方法を検討することが必要となり、議員お述べのとおり、建築への制限はありませんが、市庁舎は災害応急対策に必要な施設であることから、土砂災害計画区域への対応とあわせて、調査整備のあり方について慎重に検討してまいりたいと考えております。
 3点目の合併特例債を活用した庁舎整備につきましては、現時点では合併特例債が有効な財源でありますが、引き続き財政負担を軽減できる特定財源について検討してまいります。
 また、今後のスケジュールですが、旧国有地には、財務省近畿財務局における自主調査で、一部に汚染土壌及び埋設物が含まれていることが確認されていることから、まずは、当該土地の瑕疵担保責任の追及期限であります平成30年11月までに、その汚染土壌等の処理を進めてまいります。
 なお、庁舎整備のスケジュールにつきましては、来年度に実施を予定している庁舎整備基本方針やその後に策定する庁舎整備基本計画の中で検討していきたいと考えております。
 4点目の大津びわこ競輪場跡地への中消防署の移転についてでありますが、跡地利用については、既に方針を決定しており、中消防署が当該跡地へ移転する考えはございません。
 なお、消防署移転の方向性については、消防局の意見を十分に考慮しながら、庁舎整備基本方針や庁舎整備基本計画の中で検討を加えていきたいと考えております。

答弁:消防局長
 2点目の土砂災害警戒区域に中消防署を設置することの妥当性についてでありますが、土砂災害警戒区域に消防庁舎を建築することについては、平成12年消防庁告示第1号消防力の整備指針第23条第1項に、消防本部及び署所の庁舎は、地震災害及び風水害等において災害応急対策の拠点としての機能を適切に発揮するため、十分な耐震性を有し、かつ浸水による被害に耐え得るものと明記されていることから、あらかじめ土砂災害のおそれがある区域として指定されている場所に消防庁舎をはじめとする防災関連施設を建設することは、緊急時の対応に不安を残すこととなり、一般論といたしまして、中消防署の設置場所として最適地とは言えず、また、市民の方々の理解を得ることは難しいものと考えます。

答弁:産業観光部長
 大津びわこ競輪場跡地への中消防署の移転についてのうち、大津びわこ競輪場跡地公募提案型貸付事業の進め方についてでありますが、本市の意思形成過程の透明性の向上と公正の確保を図るため、附属機関の設置を今通常会議に上程したものであります。
 意思形成過程の透明性につきましては、昨年度、利用者アンケートやヒアリングを実施して、大津びわこ競輪場跡地利活用における民間活力導入の基本的な方針について公共施設対策特別委員会に御報告し、御意見をいただきながら策定したものであります。この基本的な方針に基づき、現在、事業者募集要項や審査項目を作成しているところであります。さらに、今年度も、地元への説明を複数回行っておりますが、今後においても地元学区や自治会に対して説明を実施してまいります。
 公平性の確保につきましては、外部委員である学識経験者を加え、法律面や事業性の継続性を審査していただく予定でございます。

再 問
 産業観光部長から、今年度においても地域に対して説明をなされてきたかのような答弁がありました。現在、地元学区においては、まちづくり構想や災害時における対応マニュアルを熱心に策定されることもあって、全く報告がないことから、促されて行かれたのではないですか。今後のスケジュールを報告されているだけじゃないですか。決まっている方針を説明されているだけですよね。
 もう競輪場跡地については、利用について方針が決定しているという答弁がございました。しかしながら、私の認識では、民間の活力を利用するという方針が決められて、この間、前年度は政策調整部で、また、今年度においては産業観光部でさまざまな検証も重ねられ、募集に向けた内部協議検討されてきているということは認識しますが、これからですよね。これからどういった提案がなされるかによって、その判断も変わってくると考えます。
 施設の解体費用を捻出することや、本市の行財政運営に与える影響についても鑑みられ、決定されたということは認識をしています。しかしながら、再三申し上げているが、隣接国有地が土砂災害警戒区域に指定されて、解除ができなかったのですよね。先ほど局長のほうから、一般論という言葉は用いられましたが、消防署を整備することはなじまないわけですね。ということは、改めて中消防署の整備用地を確保しなければならないのですよ。また時間かかるのですよ。中消防署というぐらいですからね、どこでもいいわけじゃないのですよ。
 改めて伺いますが、質問でも申し上げました。30年先、50年先の安全・安心なまちづくりを見せた上で、政策転換の提言をさせていただいています。今申し上げたことを踏まえて、改めて、できれば、これ、市長に答弁求めます。

答弁:市長
 ただいま御指摘をいただいたのは、中消防署についてどのように考えるかということであります。部長の答弁の中でも答えさせていただいたとおり、消防局の意見を十分に考慮しながら、庁舎整備基本方針や庁舎整備基本計画の中で検討を加えていきたいというふうにお答えをさせていただきました。この趣旨としては、最終的にはこういった方針や計画の中で検討しますけれども、こういった庁舎について、私自身は一番重要なことは安全だと思っています。その中でも、庁舎の中でも最も安全が求められるのは、災害時に最も重要な消防署であるというふうに考えています。ですので、先ほど消防局からお答えいただいたとおり、消防局の意見を尊重していきたいというふうに考えています。