登壇

12月2日、下記4項目について質疑・一般質問を行いました。質問内容を要約して掲載いたします。(正式な議事録ではございませんのでご承知おきを願います。)
 

 
ファミリーサポートセンター事業のさらなる充実に向けた取り組みについて
 

1点目、持続可能な組織体制を構築するための取り組みについて。ファミリーサポートセンターとは、育児の援助を受けることを希望する保護者と援助を行うことを希望する人が会員となって、地域で子育てを支援する相互援助のための会員組織です。平成137月に同センターが大津市に設立されて以降、事業の管理運営については、大津市社会福祉協議会に委託されています。こども家庭庁は実施要綱を定めたうえで、市町村等の実施主体に対して補助を行っており、基本事業に対する基準額は会員の総数によって段階的に設定されています。令和710月末時点における大津市ファミリーサポートセンターの会員数は、「おねがい会員(依頼会員)」は1,108人、「まかせて会員(援助会員)」は430人、「どっちも会員(両方会員)」は343人、総計1,881人であり、今年度においては、会員数1,500人から1,999人の区分で補助金の交付申請が行われています。基準額である1,210万円に対して、国・滋賀県からそれぞれ三分の一の補助を受けることが既に決定していると承知していますが、過去5年間の会員数はいずれの年度も2,000人を超えており、前年度における補助金の基準額は会員数2,000人から2,999人の区分で定められている1,620万円でした。
 
令和7年度における大津市社会福祉協議会への委託料は国庫補助の基準額と同額の1,210万円と承知していますが、令和5年度は1,4378千円、令和6年度は1,4545千円でした。両年度とも委託料が国庫補助の基準額を下回る金額であったことから、国・滋賀県からの補助金は当該委託料を基にして交付決定されています。今年度においては会員要件をあらためて精査されたこともあり、前年度までと比較して会員数は減少し、会員数が2,000人を下回る結果となりました。委託料の大幅な減額は、国庫補助の基準額が見直されたことも影響していると思慮するものですが、活動件数は令和5年度が3,069件、令和6年度が3,291件であったのに対して、大津市こども・若者支援計画で示されている令和7年度の活動見込みの件数は3,566件と逆に増加しています。
 
子ども家庭庁は出張登録会や無料託児付き説明会の開催、SNS等を活用した周知・広報など、預かり手増加のための取り組みに対して、加算による補助を行っています。大津市ファミリーサポートセンターは会員を対象とする公式LINEを令和7年5月に開設されましたが、国が定める要綱に合致すると見込まれる、また、現体制のもとで実現可能と判断される取り組みについては、国庫補助を積極的に活用いただき、同センターにおける運営基盤の強化を図りながら、持続可能な組織体制を構築いただきたいと考えます。
 
大津市は当該事業の事務事業評価にあたり、説明会や講習会の参加人数の目標を400名と掲げていますが、令和5年度は92名、令和6年度は93名という結果でした。大津市はこども・若者支援計画や事務事業評価において、依頼も援助も行うことのできる「両方会員」での加入を促進する方針を示していますが、今後、どの様な取り組みのもとで実現を目指していかれるつもりなのか。また、ファミリーサポートセンター運営事業を対象とした令和7年度事務事業評価において、利用手続きにおいて新たなツールを活用することを方針として掲げています。サポート依頼等、会員の利便性向上に資する事務手続きのオンライン化に向けた検討状況とあわせて答弁を求めます。

 

2点目、配慮が必要な子育て家庭等を対象とした利用支援の拡充について。子ども家庭庁は先に申し述べた基本事業に加え、配慮が必要な子育て家庭等の利用支援を実施する場合に補助金を加算する制度を設けています。令和7年2月通常会議における質疑・一般質問において、私はこども家庭庁が示す制度の活用を図り、配慮が必要な子育て家庭等へ利用支援の拡充を図ることについて、大津市に見解を求めました。その際、大津市からは、国庫補助を活用して、利用料の助成や早朝・夜間等の受入れなど、支援を拡充していくことは、ひとり親家庭や低所得者など配慮が必要な子育て家庭の支援として重要な視点であると認識していること、また、支援を拡充するうえで、ひとり親家庭等の利用状況とニーズに対して、現状の「まかせて会員」数などの提供体制で対応が可能であるかどうかを見極めながら検討する必要があるとの考えが示されました。
 
令和7年8月、大津市は児童扶養手当の現況届の受付に際して、ファミリーサポートセンター事業における子育て世代のニーズを把握し、より良いサポートを検討することを目的として、ひとり親家庭の保護者を対象にアンケート調査実施されました。1,618名にアンケート用紙を配布された内、1,607名から回答を得られています。大津市は今後どの様な方針のもと、子ども家庭庁が設ける制度の活用を図りながら、ひとり親家庭等を対象とした利用支援の拡充に取り組んでいかれるつもりなのか。当該アンケート結果の受け止めとあわせて答弁を求めます。
 
答弁:こども未来部長
 

1点目の持続可能な組織体制を構築するための取り組みについてでありますが、加入促進に向けた取組みについて、ファミリーサポートセンター事業がどのような制度かを理解していただく必要があるため、市ホームページの充実を図ったところでありますが、広く子育て世帯に制度を知ってもらえるよう、アプリでの情報発信の充実や、子育て世帯が集まる場での説明会の開催など、様々な形での周知を図ってまいります。今年度から、本市においてもLINEを活用した情報発信に取り組んでおりますが、他都市においてはLINEを活用し報告・申請事務の簡素化を図っている事例もあることから、今後更なる利便性の向上につながるよう活用方法について、委託先と協議を進めてまいります。
 
2点目の配慮が必要な子育て家庭等を対象とした利用支援の拡充についてでありますが、今年度実施いたしましたひとり親家庭を対象としたアンケートでは、事業の認知度が低いことから、まずは事業を知っていただき、支援を必要とする方に適切に利用いただけるようにすることが重要であると考えております。また、制度を利用していない方の声として、急な依頼に対応できない、手続きについて手間がかかるなどの課題も把握でき、まかせて会員の確保や高齢化、また事前打ち合わせの労力などを踏まえ、制度の運用方法について検討してまいります。
 
リンク:大津市ホームページ ファミリーサポートセンターについて

 
 
大津市版・協働のまちづくり事例集を策定することについて
 

 

滋賀県においては令和79月から10月にかけて、「湖国の感動 未来へつなぐ」をテーマに第79回国民スポーツ大会、第24回全国障害者スポーツ大会が開催され、大津市においても数多くの競技会で熱戦が繰り広げられました。開催期間中、ボランティアスタッフの皆様がいつも笑顔で迎えてくださり、ふるまいコーナーでは地域住民の皆様が競技会に出場される選手や大会関係者をおもてなしくださいました。「わたSHIGA輝く国スポ・障スポ2025」の開催を契機として、市民との協働によるまちづくりがより一層推進されることを願い、以下、質問を行います。
 
大津市総合計画基本構想においては、まちづくりの基本理念として、共助社会の実現が掲げられており、三者協働によるまちづくりを積極的に進めることが記されています。大津市における市民、事業者、地域団体、大学、NPO、職能団体等との協働によるまちづくりの実態について理解を深めたいと考え、 全ての部局を対象に協働に関するアンケート調査を実施させていただきました。市民、事業者等と協働により取り組まれている事業及び活動、また、地域課題の解決に資する市民、事業者等が主催する事業及び活動に対する補助の名称を回答いただきましたが、部局によって「協働」の捉え方と認識に相当な差異があると評価するに至りました。
 
大津市「結の湖都」協働のまちづくり推進条例において協働は、「市民・市民団体、事業者及び市がその自主的な行動のもとに、互いの特性を尊重し認め合い、企画立案、実施、評価及び改善の全ての過程又はそれぞれの過程において、話し合いに基づいて役割を分担し、共通の目的である公共的な課題の解決のために力を合わせてまちづくりに取り組むこと」と定義づけられています。また、今年度から令和10年度までを取り組み期間とする大津市総合計画第3期実行計画においては、地域コミュニティの維持が施策に設定され、取り組みの方向性に「市民協働の推進」が含まれていますが、市民・市民団体、事業者及び大津市が「協働」の捉え方や認識をより効果的に共有できるよう、「大津市版・協働のまちづくり事例集」を作成されることを提言するものです。
 
愛知県岡崎市では、岡崎市市民協働推進条例に基づき市民協働推進計画を定め、市民協働の推進を図っておられます。市民協働に対する理解と市民協働による事業がより一層展開されるよう、岡崎市が実施する市民協働事業を紹介した「市民協働事例集」を平成26年から継続して毎年作成されています。同市のホームページでは、市民協働事業を始めたい方やよりステップアップしたものにしていきたい方は、事業を取り組む際の参考としてご活用くださいとの案内がなされており、事業名称、実施主体、協働に至る経緯と背景、事業内容、役割分担、協働の成果、協働の課題等がまちづくりの分野ごとに掲載されています。
 
なお、大津市は市職員をはじめ、市民・市民団体及び事業者が協働で事業に取り組む際の考え方や手法をまとめた「大津市まちづくりガイドブック」を作成され、平成30年度より公開されています。当該ガイドブックでは協働による4つの活動事例を紹介されており、「今後も事例を集め、ホームページにもどんどんあげていきます!事例があれば自治協働課へお知らせください!」と記されていますが、残念ながら公開には至っていません。
 
現在、大津市においては、令和8年度から令和10年度を取り組み期間とする大津市協働のまちづくり推進計画(後期改訂計画)の策定に向けて検討が進められています。「大津市版・協働のまちづくり事例集」は同計画が目標とする「みんなが活躍する「協働のまち 大津」」の実現に資するものと考え、同事例集の作成に向けた今後の取り組み方針について見解を求めます。
 
答弁:市民部長
 
2項目めの大津市版・協働のまちづくり事例集を作成することについてでありますが、今後、改訂を予定している「大津市まちづくりガイドブック」の更新など、様々な機会を活用し、三者協働のより一層の推進に努めてまいります。
  
再質問
 
「大津市まちづくりガイドブック」を改定される際に、あらためて検討されるといった趣旨での答弁であったと理解させていただきました。初問で岡崎市の事例を紹介させていただきました。「大津市まちづくりガイドブック」を改定されるにあたり、どういった点に留意をなされて、今申し上げさせていただきました、大津市内における協働の事例について紹介されていかれるべきと考えておられるのでしょうか。もう少し具体的に詳しく答弁ください。
 
答弁:市民部長
 
まず、事例として先進事例になるような、他の取り組みに参考になるような事例をいかに紹介をして、広がりを期待できるかということが1つ。
もう1点、私ども市職員につきましても、協働意識の醸成に関連できるような、効果が期待できるような取り組みをする中で、事例集の検討を進めていく必要があるかと思います。具体的には、大津市職員協働推進本部を設置しております。その中で、こういった事例の紹介、それから、それぞれの各部局での取り組み、こういった共有も含めてですね、作成にあたっては検討して参りたいと考えております。
 
リンク:大津市ホームページ まちづくりを楽しもう!『大津市まちづくりガイドブック』


 
指定管理者制度を導入する施設を対象としたモニタリングのあり方について
 
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点目、第三者モニタリングを実施することについて。大津市は指定管理者制度を導入した公の施設の管理に関するモニタリングの基本的な考え方や実施方法を「大津市指定管理者制度導入施設モニタリング指針」に示しています。これまでの間、平成242月に策定されて以降、7度に渡って改正を重ねられ、指定管理者と施設所管課双方で活用が図られています。当該指針においては、指定管理者の更新に当たり、より高い事業効果が得られるよう、指定期間中のモニタリング・評価結果に基づき、指定管理者制度導入の効果や管理運営の結果を総括・検証し、次期選定に向けて募集要項等に反映させる必要があると記されています。検証に当たっては、利用状況(利用者数、稼働率、利用料収入)の推移、成果目標と実績、事業の実施状況等から、「施設の設置目的は達成できているか」、「経費縮減の効果は得られているか」、「市民サービスは向上しているか」等の視点から行うものとされています。また、その結果、改善すべき点がある場合は、事業内容や選定時の審査項目の見直し、利用料金制導入の有無、利益配分の見直し等について検討するものとされていますが、大津市には施設所管課自身がモニタリングを受ける制度は設けられていません。
 
福井市では指定管理者制度導入施設の管理運営、サービス等が適正かつ効率的に提供されているかを第三者の立場から検証し、市や指定管理者へ意見を付すことで、施設運営の効率化と利用者の利便性向上を図っていくことを目的として、第三者モニタリングを実施されています。開始されたきっかけについて調査したところ、平成2066日付総務事務次官通知において、指定管理者制度の運用についての記載があり、指定管理者の適切な評価を行うに当たっては、当該施設の態様に応じ、公共サービスについて専門的知見を有する外部有識者等の視点を導入することが重要であるとの記載がなされており、平成21年から22年度の試行を経て、平成23年度から本格実施されているとのことでした。第三者モニタリングの主体は、付属機関として条例に規定されている福井市指定管理者選定委員会が実施されています。施設の管理運営状況を指定管理者が自ら評価する「指定管理者モニタリング」と指定管理者からの定期的な報告をもとに、管理運営が適正に行われているかを現地調査により確認する「所属モニタリング」の結果を踏まえ、指定管理者の管理運営やサービスが適正かつ効率的に行われているかどうか、施設所管所属が適切に指導監督をおこなっているかどうかを評価されています。施設所管所属は、第三者モニタリングの結果を参考に、指定管理者に対する指導を行い、以降の施設運営に反映していくほか、当該施設における指定管理者制度継続の是非についても検証されています。
 
福井市では53の施設で指定管理者制度を導入されており、指定管理者選定年度の前年度を目途に第三者モニタリングを実施されています。その結果は、毎年実施されている所管所属担当者説明会で周知され、指摘された事項等の共有を図られており、翌年度に行われる次期の選定にあたっては、第三者モニタリング時からの改善状況等について、あらためて確認が行われています。第三者モニタリングの結果はホームページでも広く公開されており、管理運営体制の見直しや市民サービスの向上に効果的に寄与する取り組みであると高く評価するものです。

市民サービスのさらなる向上と指定管理者制度を導入する施設における管理運営の適正化をより効果的に図ることを目指し、大津市においても第三者モニタリングを実施されることを提言するものです。第三者モニタリング制度に対する評価と実施に向けた今後の方針について見解を求めます。

 

2点目、ユニバーサルデザイン等への配慮について。私はこれまでの間、大津市差別解消支援地域協議会構成団体の一員である公益社団法人滋賀県建築士会大津地区委員会の一員として、大津市が実施する公共施設バリアフリーチェックに参加してまいりました。同チェックは平成30年度から実施されており、移動等の障壁となっている箇所を確認し、施設所管課と共にさらなるバリアフリーを推進しようとするものです。指定管理者制度が導入される施設においても実施されてきましたが、私自身も参加する度に他の参加者からの指摘や提言により、ユニバーサルデザインやバリアフリー、合理的配慮のあり方について理解を深めさせていただいています。
 
大津市指定管理者制度導入施設モニタリング指針が定めるモニタリングチェックシートに「ユニバーサルデザイン等への配慮」が評価項目として設けられています。「ユニバーサルデザイン、バリアフリーへの配慮、障害者に対しての合理的配慮の推進等に努めていたか」を評価の視点とされており、関係書類、実地調査をもって確認すると定められていますが、具体的にどの様な書類、また、実地調査はどの様な方針のもとで実施されているのでしょうか。また、大津市が独自に作成された「障害者に対しての合理的配慮の提供事例集」はどの様に活用されているのでしょうか。モニタリングでの気づきを当該事例集に適宜反映され、共生社会のさらなる実現を目指すことについて、見解を求めます。

 

3点目、南海トラフ地震臨時情報発表時における施設管理運営のあり方について。大津市指定管理者制度導入施設モニタリング指針が定めるモニタリングチェックシートに「緊急時のマニュアルが整備され、定期的に訓練等を行うなど、職員への指導徹底を図っているか」との評価項目が設けられています。当該評価項目に南海トラフ地震臨時情報発表時の対応は含まれているのでしょうか。大津市は「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」において、防災対策推進地域に指定されていることから、「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン」に基づき、市民や事業者に対して命をまもる行動をとるよう促していく必要があります。大津市は指定管理者とどの様に連携を図りながら対応策を講じておられるのか、あわせて答弁を求めます。
 
答弁:総務部長
 

1点目の第三者モニタリングを実施することについてでありますが、第三者によるモニタリングについては、モニタリングの範囲を専門性の高い分野に絞るか否かなど、その実施手法によって有効性や効率性が変わってくることから、一概に評価することは困難であります。本市におきましては、まずは、現在の形でのモニタリングにおける課題の整理と必要に応じた改善を図ることを優先すべきと考えていることから、第三者モニタリングの導入については検討しておりません。
 
2点目のユニバーサルデザイン等への配慮についてでありますが、モニタリングの実施に際しては、確認内容として書類及び実地調査を挙げていますが、確認すべき書類や実地調査の際の視点についての具体例は示しておらず、各施設所管所属の判断により評価しているところです。また、「障害者に対しての合理的配慮の提供事例集」の活用状況については確認できておりませんが、必要に応じて事例集に掲げる視点を参考にするよう周知してまいります。
 
3点目の南海トラフ地震臨時情報発表時における施設管理運営のあり方についてでありますが、モニタリングの際の評価においてどのようなケースを前提としたマニュアルを整備すべきかについては具体例を示しておりませんが、南海トラフ地震臨時情報が発表された際の対応については、あらかじめマニュアルを定めておく必要があると考えており、南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドラインに基づく対応が適切に図られるよう、各施設所管所属に促してまいります。
 
リンク:大津市ホームページ 大津市指定管理者モニタリング指針

 
 
大津市市民活動センターの今後のあり方について
 

大津市は令和8年4月から大津市市民活動センターの運営手法を指定管理者から市が直接に管理・運営を行う方法に見直す方針を示しています。実現のために必要となる条例の改正案が今期通常会議に提出されていることを踏まえ、市直営による大津市市民活動センターの管理・運営体制と同センターに設置されているスモールオフィスのあり方ついて、それぞれ質問を行います。
 
はじめに、市直営による大津市市民活動センターの管理・運営体制について。大津市は条例改正に伴う重要案件説明資料にて、新たな拠点となる市民活動センターは、地域団体、市民団体、事業者が共につながり、交流を促進していくための市民公益活動のプラットフォームとなる場所として、また、多様な主体が行う様々な活動をつなぎあわせ、「点」から「線」、「面」の活動につなげていけるよう、中間支援機能の役割を果たせるよう取り組んでいくと示されています。また、それぞれの活動が相乗効果を生み、市民公益活動の活性化につなげるとされていますが、このことは、指定管理者制度のもとでは実現できない、また、大津市が直接に管理・運営を行えば実現できる、といったものではないと考えます。

 
ここで、中間支援組織の運営を指定管理者制度から市による直営での管理・運営に見直された守山市の取り組みを紹介させていただきます。守山市は市民と行政による協働のまちづくりをめざして、平成16 年に守山市民交流センターを設置されました。平成 19年以降、NPO法人が管理・運営と中間支援機能を担ってこられましたが、令和3年度からは市の直営による管理・運営に戻されています。守山市においては令和55月から11月にかけて、市民活動団体との協働を推進するにあたり、中間支援組織の機能や運営方法等について検討するため、「中間支援組織あり方研究会」を設置されました。令和62月に同研究会によって取りまとめられた「守山市におけるこれからの中間支援組織のあり方に関する提言」より、以下、引用させていただきます。
 
これまでの守山市の中間支援組織は、以下のような理由から中間支援が十分に機能しているとは言えない。指定管理者制度にて、NPO法人が管理運営と中間支援機能を担っていた時期においては、(1)施設管理や貸館業務の業務負担が大きく、中間支援まで十分に担えなかったこと、(2)(1)に関連し、中間支援を担える専門的人材が不足していたこと、(3)NPO法人の構成員の高齢化が進み、継続することが困難となったことが挙げられる。その後の市の直営の時期においても、職員の定期異動のため、(1)市民活動団体との継続した関係性が構築できないこと、(2)中間支援に求められる専門性が担保できないといった課題が指摘されている。いずれの時期(運営主体)においても、市民活動へのエンパワメントを継続して行うための体制に至っていない。
 
報告書からの引用は以上となります。
 
また、中間支援組織が有効に機能するには、当該組織の体制や仕組みを動かす人材こそが重要になると提言されています。特に、中間支援組織によるアプローチとして重要な伴走型支援を可能にするためには、長期的に市民活動団体に寄り添いながら関わっていく姿勢や、市民活動・まちづくりに関する知識、相談内容に応じた適切なコーディネートや解決策の提示ができる能力を有する人材が必要であるとされています。次年度以降、直営による管理・運営を目指す大津市においても、参考にされるべきと考えます。守山市に求められる中間支援のあり方として示された(1)伴走型支援を可能とする体制の構築、(2)テーマ型組織と地縁型組織のいずれもサポートする中間支援組織、(3)福祉や環境など他の分野の地域づくりとの連携、(4)民間企業(起業家)や中間支援機能を有する団体を含めた多主体協働については、大津市市民活動センターにおいても同様に求められることであると考え、質問に先立ち取り組みを紹介させていただきました。
 
私は、大津市市民活動センターの運営手法を指定管理者から市が直接に管理・運営を行う方法に見直すこと自体に反対するものではありません。しかしながら、コーディネーター1名、専門的な相談等の対応として、アドバイザーを月2回程度、外部組織に要請する体制でこれまで以上に中間支援機能の拡充を図ることはできるのでしょうか。事業を所管する市民部自治協働課は大津市市民活動センターに併設されておらず、貸館に係る業務についても、コーディネーターが担われると説明を受けています。また、大津市は多様化する住民ニーズにより効果的・効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用し、住民サービスの向上を図るとともに、経費の削減を目的として、指定管理者制度を導入してきました。大津市が移行を目指す直営での管理・運営は同制度のもとで要してきた費用を前提に行われるのでしょうか。同センターの管理・運営体制については、コーディネーターを務められる職員の育成を継続的に図りながら、中間支援組織に求められる機能と今後のあり方を踏まえて構築されるべきと考えます。大津市はどの様な方針のもとで大津市市民活動センターにおける管理・運営体制の構築を図っていくつもりなのか、見解を求めます。
 
次に、スモールオフィスのあり方について。市民活動センターは市民公益活動に係る事務を行うための施設として、16区画からなるスモールオフィスを設置しています。使用申請の審査にあたっては、これから活動を開始しようとする団体、あるいは活動開始後3年未満の団体を対象とする「インキュベート枠」と活動開始後3年以上の団体と継続使用を希望する団体を対象とした「パワーアップ枠」に区分して募集を行うことが要綱に規定されています。この項の質疑・一般質問を行うにあたり、同センターが開設された平成18年度から今年度に至るまでのスモールオフィス使用状況について、施設所管課である市民部自治協働課に聞き取り調査を行いました。平成18年度、大津市は入居団体を募集するにあたり、インキュベート枠とパワーアップ枠、それぞれ8枠ずつ設けました。募集の結果、インキュベート枠は10団体、パワーアップ枠は4団体から応募があり、インキュベート枠で不足する2区画については、応募枠に満たなかったパワーアップ枠から確保され、開設初年度を迎えられています。今年度においても変わらずインキュベート枠とパワーアップ枠は設けられているものの、平成21年度分の入居者募集以降、上限区画数を設けての入居者募集は行われていません。また、前年度の入居団体募集の案内には、ヒヨコのイラストと共に「スモールオフィスは市民公益活動団体のインキュベート(ふ化器)施設です」と記されていますが、令和になって以降、インキュベート枠での使用実績は昨年度、年度途中で入居された1件のみであり、今年度においては今期通常会議開会日時点でゼロ件と承知しています。
 
京都市が開設する京都市市民活動総合センターは様々な社会課題の解決に向けて自主的に活動する団体の皆さんをサポートするための拠点として、スモールオフィスを設置されています。NPO・市民活動団体、ボランティアグループなど、社会的課題に取り組む非営利団体であれば法人格の有無を問わず活用でき、利用団体の選定にあたって評価基準を設けておられます。以下、京都市が定めるスモールオフィス募集要項より引用します。
 
【必要性】スモールオフィスを利用して活動を行う必要性があるか。

【公益性】事業の成果が社会全体の利益につながるか。

【継続・発展性】団体が実施する事業に継続性、発展性があるか。

【公開・透明性】どのような方法で情報を公開・発信し、市民からの共感や支援を獲得していくのか。

【成果目標】利用1年後の成果目標がはっきりしていること。
 
引用は以上となります。
 
京都市市民活動総合センターに設置されているスモールオフィスは、立ち上げ期・成長期にある団体など、利用団体それぞれの段階に応じた今後の事業継続・発展の支援を目的とされています。そのため、応募団体に対するスモールオフィスの必要性に重点を置いた選定が行われています。募集は年に4回行われており、締め切りは4月、7月、10月、1月のそれぞれ末日となっています。なお、京都市においては、東山いきいき市民活動センターにもスモールオフィスが設置されており、両施設とも、京都市市民活動センター条例の規定により、毎年度申請することによって、継続して5年までの利用が可能となっています。指定管理者によって管理運営されている、京都市市民活動総合センターの相談体制や情報発信は大変充実しており、大津市においても参考にされるべきと考えます。以上を踏まえ、以下4点質問を行います。
 
1点目、大津市は協働によるまちづくりを推進するにあたり、どの様な目的と運営方針のもとで、スモールオフィスにインキュベート枠とパワーアップ枠を設けているのでしょうか。これまでの間、使用期間に上限を設けてこなかった理由とあわせて答弁を求めます。

 

2点目、スモールオフィスにおいては、長年に渡ってインキュベート枠での使用実績がありませんでした。大津市はその理由をどの様に分析・評価され、次年度以降における募集要項の策定に活かしていこうとされているのか。見解を求めます。

 

3点目、スモールオフィスの利用料金は1区画・ひと月につき5,260円、また、その使用期間がひと月に満たない月の利用料金の上限額は、日割りによって計算した額にすると条例で規定されています。今年度においては、希望する団体が2区画を使用されている現状においても区画に空きがあります。募集要項に空き区画がある場合には、再募集を行う場合があると記されているものの、今期通常会議が開会された時点において、大津市市民活動センターによる追加の募集は行われていません。事前の聞き取り調査によると、区画の空き状況に応じて、4月以降にあらためて募集を行われていた年度もあったそうです。スモールオフィスに空き区画があった場合、大津市はどの様な方針のもとで追加募集を行うことになるのか。これまでの対応と次年度以降の対応方針とあわせて見解を求めます。

 

4点目、スモールオフィスにおける法人登記に関する情報は、利用を検討される法人や法人化を目指す団体にとって、大変重要な情報と考えます。京都市市民活動総合センターにおいては、スモールオフィスの使用にあたり、法人登記が可能であること、また、メールボックスの使用にあたっては、法人登記や団体所在地にはできないものの、団体連絡先として活用できることが同センターのホームページに明記されています。大津市市民活動センターにおいても、スモールオフィスにおける法人登記に関する情報は、広く市民や市民活動団体と共有されるべきものと考えますが、現状の取り扱いと今後の対応方針について見解を求めます。
 
答弁:市民部長
 
1点目の市直営による大津市市民活動センターの管理・運営体制についてでありますが、市民活動センターについては、来年度からは、市職員、並びにコーディネーターや非常勤のアドバイザーの配置を検討しており、市の組織や施策との有機的な連携を図るとともに、市職員の協働に関する資質向上にも取り組んで参ります。
 
2点目のスモールオフィスのあり方についてのうち、1つ目のどの様な目的と運営方針のもとで、インキュベート枠とパワーアップ枠を設けているのかについてでありますが、インキュベート枠については、市民活動を始められるきっかけとなることを目的として、また、パワーアップ枠については、市民団体が継続した運営を行うことを目的としております。上限を設けていない理由については、利用枠を柔軟に活用してもらい、利用率を上げることを目的としてきたものです。 
 
2つ目の次年度以降における募集要項の策定にどのように活かすのか及び3つ目のスモールオフィスの空き枠の募集のこれまでの対応と次年度以降の対応方針についてでありますが、スモールオフィスの開設当初は、社会的な気運やニーズもあり、インキュベート枠としての利用があったものの、ここ数年は、本市におけるNPO法人の増加件数が横ばいであることも踏まえ、現状では、団体の継続性を重視した運用となっております。インキュベート枠に空き枠がある場合、年度末に指定管理者が募集を行った上で、埋まらない場合は、随時募集としておりましたが、スモールオフィスの枠割を含め、効果的な運営について検討してまいります。
 
4つ目のスモールオフィスにおける法人登記に関する情報についてでありますが、今後、スモールオフィスの申込みの際に役立つ情報の提供について検討してまいります。
 
再質問
 
市直営による大津市市民活動センターの管理・運営体制についてです。指定管理者制度による管理・運営から市が直接に管理・運営を行っていただく方法に見直されることによって、中間支援機能の拡充が図られるか否かというのは、大変重要な視点であると私は考えています。大津市からの説明では、コーディネーターの方が貸し館に係る業務も担っていただけるということですが、コーディネイターの方の研修であったり、また、今、答弁でおっしゃっていただいた、資質の向上というものを図っていただこうとした場合においては、自治協働課との密接な連携が不可欠になると考えるものです。
 
先ほど、守山市の事例を紹介させていただきました。守山市におかれましては、市民交流センターに市民協働課協働推進係が併設されています。先日、市民交流センターを訪問させていただきましたが、同じ建物の同じフロアに協働推進係の職員さんがおいでになられます。しかしながら、初問の繰り返しになりますけれども、大津市においては、現時点でそのような体制をとっていただくといった説明がございません。
 
改めておうかがいさせていただきますが、今の私の問題提起を踏まえて、どのような体制のもと、また、方針のもとで中間支援機能の拡充を図っていただこうとしているのか。もう一度、お聞かせいただけないでしょうか。
 
答弁:市民部長
 
改めてのご質問にお答えいたします。まず、正規職員の関わり方なのですが、物理的な配置等については検討中ではございますが、先の答弁でも申し上げましたように、正規職員が係の体制の中で現場に勤務することは前向きに検討していきたいと思っております。ですので、先ほどおっしゃられたコーディネーターが貸し館等をすることを全面的に担うというよりは、その場におります正規職員も一緒になって、そういった業務にはあたっていくことが想定できるかと思っています。
 
それから、中間支援の機能を今後どうしていくのかなんですけれども、直営にするにあたりまして、施設機能は現行のまま。それから、その他のセンター事業については、様々ご意見をいただいているところではございます。センター事業の様々なものが、今、議員おっしゃっている中間支援の大半に当たってくるとは思うのですけれども、どういったことを優先的に取り組んでいくか。市民の方々からのご意見、利用団体からのご意見、その他、様々な方からのご意見を踏まえ、また、意見交換なども踏まえながら、ここ、近日中には検討を進めていきたいというふうに思っておりますので、優先して取り組むべき事項というのは、ここ、しばらくの間に固めていきたいというふうに考えております。
 
再質問
 
貸し館業務に関して、コーディネーター以外の市の職員さんも関わっていただけるといった趣旨で答弁をいただきました。貸し館業務といいますのは、日々の業務として行っていただくものになると認識しているのですが、コーディネーターを担っていただく職員さん以外に貸し館業務を担っていただく職員の方というのは、どのような形で市民活動センターにおいでになられることになるのでしょうか。日々おいでになられるのでしょうか。そのあたりを確認させてください。また、先ほど中間支援のあり方について、改めて近日中に検討されていくということでしたが、どのような機会を持たれて検討されていかれるつもりでおられるのか。改めて答弁を求めます。
 
答弁:市民部長
 
まず職員なんですが、現地にデスクがある状態で係としての交代制になるのか、全体でということまでは今検討はしておりませんが、決まっておりませんが、現場に職員を配置することを前提に今調整を進めております。
 
2点目、中間支援の検討の方法なんですけれども、ここからセンターの事業については、丁寧なコミュニケーション、意見交換、それから、先ほども申し上げましたが、市民の方々、多くの方からのご意見を踏まえながら、進めていく必要があると思っております。そのために、意見交換、もしくは、何らかの形で利用団体の方々と個別にご意見をいただくような機会を設けて、早急に案の方、検討はしていきたいというふうに考えております。

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