【11月特別会議】

 11月特別会議が開催され、市長から提出された議案について審査を行いました。外部委員から組織される大津市職員不祥事防止対策検討委員会については、3名の議員が質疑・一般質問を行い、私自身も議長に許可をえたうえで下記の緊急質問を行いました。

不祥事の再発防止に向けた取り組みについて

(附属機関を設置する必要性について)

大津市民病院放射線治療施設増築工事設計業務委託の指名競争入札をめぐり、当時の担当者が公契約関係入札妨害の疑いで逮捕される事態となりました。
大津市においては、建設部の職員が外部団体会計で管理する公金外現金を横領したことに伴い、顧問弁護士からの提言を踏まえた再発防止策が講じられたばかりであり、本年においては、消防局員による住宅手当の不正受給の発覚、わいせつ容疑・建造物侵入容疑による教職員の相次ぐ逮捕、政策調整部の職員が強制わいせつ罪で起訴されるなど、未だかつてないほど不祥事が相次いでいます。
この度の補正予算には、市長の附属機関として、大津市職員不祥事防止対策検討委員会を設置するための経費が計上されていますが、新たな逮捕者が出る以前に決定された方針に基づくものであり、さらなる不祥事が発生した翌日に公表されるに至ったことは、非常事態ともいうべき本市の状況を強く内外に印象付ける結果となりました。

本市が今年の3月に策定した大津市コンプライアンス推進指針によると、大津市職員に求められるコンプライアンスについては、「法令等に精通し、法令等に基づいた業務を実施することを大前提として、法の一般原則を常に意識し、社会環境の変化、要請に適切に対応しながら職務を遂行すること」と定義されており、法律の専門家である市長自らも当事者意識をもって綱紀粛正に率先して取り組む必要があります。
市長は事件発覚後の定例記者会見において、「失うべき信頼は残っていない」と発言されたようですが、多くの職員が市民からの信頼に応えるべく、日々最善を尽くしておられることをよくご存じのはずであり、補助機関そのものが全く信頼に値していないという前提でコンプライアンスの推進に取組まれるのであれば、指針そのものの否定につながるものと考えます。

非常事態ともいうべきこの状況を改善するためには、勤続年数や職務内容にかかわらず、職員の一人ひとりが不祥事の根絶に向けて取り組まなければなりません。
市長は選挙時におけるマニフェストにおいて、弁護士として企業法務に従事された実績を明記されるなど、法令順守のプロであることを周知され、また、議会における初めての提案説明においては、市民の皆さまの税金をお預かりしている大津市は、企業以上のコンプライアンスが求められるとの認識を示されましたが、自らが公私を峻別し、法律を遵守されることはもちろんのこと、職員の心に響く形で再発の防止に向けた対応を図っていただきたいと期待するものです。
市長はスマイルプロジェクト会議を開催されるなど、笑顔あふれる大津をつくることを目指しておられますが、相次ぐ職員の不祥事に笑っていられないのが大津市政の現状です。

私は、第三者からなる附属機関からの答申をもって不祥事を防止するために必要となる事項を定めるのではなく、市長が先頭に立って全庁的な組織を立ち上げ、大津市コンプライアンス推進指針の改定も視野に入れながら自らも職員と共にコンプライアンスの推進に取り組まれるべきと考えますが、なぜ、外部の有識者のみによって構成される附属機関の設置が必要であると判断されたのか、見解を伺います。 

(コンプライアンス推進室の体制強化について)

コンプライアンス推進室の職員は、5名によって組織されますが、このうち専任は2名であり、3名は兼務となっています。コンプライアンス推進に向けた取り組みを強化するためにも、職員体制の強化を図り、機構上における位置づけをより効果的な形で見直されてはと考えますが、本市の見解を伺います。 

(大津市民病院における少額工事の実態について)

平成24年度における決算審査において、随意契約により複数回に渡って業務を受託した事業者を課ごとに調査したところ、公契約関係入札妨害罪の疑いで逮捕された職員が工事の発注を担当した大津市民病院においては、設備工事において衛生機器が追加で設置されるなど、分割発注に至った経緯が不明瞭な随意契約が確認されました。
調査の対象は50万円以上の契約に限定したものでありましたが、設計図書を作成する段階における業務内容の検討が不十分であったことは明らかであり、所属する清正会が大津市病院事業会計の決算の認定に反対をした理由の一つとなっています。

大津市少額工事の随意契約ガイドラインにおいては、予定価格が税込で130万円を超えない場合は随意契約による締結を認めていますが、作為的に分割をして契約をする行為は厳しく禁止をしています。
大津市民病院においては、設計価格の算定根拠となる見積価格の妥当性ならびに積算時における数量の根拠について、どういった体制でチェックを行い、適正と判断して予算を執行されてきたのか。平成24年度に大津市民病院が随意契約によって契約を行った少額工事の委託実績を踏まえて答弁ください。

 (逮捕された職員が従事した契約の妥当性について)

逮捕された職員が契約に従事した全ての業務について、契約過程に問題はなかったのか、大津市が主体となってあらためて調査すべきと考えますが、本市の見解を伺います。

逮捕された職員が市民病院において携わっていた契約事務については、病院内における調査を実施した後、大津市入札事務適正化検討委員会において検証を行うとの答弁でありました。
再問でも申し上げましたが、検証には建築及び電気・機械設備の知識が必要となりますので、全庁あげて取り組んでいただきたいと考えます。

なお、付属機関の設置については、以下の理由をもって修正予算案の提出を行いました。
提出者は杉浦智子議員、古尾谷雅博議員、伊藤茂議員、そして、私です。
採決においては5会派11名の賛成をえましたが、賛成少数で否決をされました。

参考:大津市議会ホームページ  平成25年度提出議案一覧

なお、市長を主体とした職員の綱紀粛正及び服務規律の確保を求める決議案については、全会一致で可決をされました。
コンプライアンスの推進については、私自身も当事者意識を忘れることなく、綱紀粛正につながる提言・提案を様々な機会を通じて行ってまいります。

平成25年度 大津市一般会計補正予算(第8号)修正予算案 提案説明

議案第180号 平成25年度大津市一般会計補正予算(第8号)のうち、款・総務費 項・総務管理費のうち、大津市職員不祥事防止対策検討委員会の開催に要する経費60万3千円を予備費に計上する修正予算案を提出します。

大津市職員不祥事防止対策検討委員会は、職員の不祥事を防止するために必要な事項を調査審議することになっていますが、大津市には職員の公正な職務の執行の確保に関することを担当するコンプライアンス推進室が設置されており、今年の3月に「大津市コンプライアンス推進指針」を策定されたばかりです。
この指針は「職員等の職務の執行に係る基本姿勢の堅持」及び「社会環境の変革に対応する行政組織の醸成」を柱としており、具体的な方策についても個別に定められていますが、周知徹底が十分に図られていないのが現状です。

職員等の職務の執行に係る基本姿勢の堅持においては、服務の根本の徹底、法令等の精通、情報の適正な管理、市民への説明責任、管理監督者の責務と認識があげられていますが、根拠法令の周知・認識については取り組みが不十分であり、部局ごとのコンプライアンス推進宣言についても、市民にその姿勢を明らかにするのであれば、掲示のあり方を見直すべきと考えます。
また、もう一つの柱である社会環境の変革に対応する行政組織の醸成についても、風通しの良い行政組織、情報の共有化の推進、セクト主義の廃止、市民目線に立つ組織風土の醸成があげられていますが、市長が率先して取り組むべき「ランチdeミーティング」ですら、今年に入って1度しか開催されていません。

大津市コンプライアンス推進指針は、コンプライアンスを正しく理解し、部局、所属、職員個人が常に意識し、取り組んでいくための基本的な取り組みを定めることによって、大津市におけるコンプライアンス体制を推進し、大津市が市民に愛されることを願い、定められています。
不祥事が続く大津市においては、第三者からなる附属機関を設置するまでもなく、まずはこの指針の周知徹底を図るべきであり、掲げられた具体的な方策の実現に向け、市長をはじめとする執行機関ならびに補助機関を構成する全ての職員は一丸となって取り組むべきと考えます。

また、大津市民病院放射線治療施設増築工事設計業務委託の指名競争入札をめぐり、当時の担当者が公契約関係入札妨害の疑いで逮捕される事態となりましたが、大津市職員不祥事防止対策検討委員会は、当該事件が発覚する前に設置する方針が決定されています。
事件の全容が明らかになったとは言えない現時点において、年内に不祥事防止の対策及びまとめを予定することは困難であると考え、修正予算案を提出するものです。

参考:大津市議会ホームページ 市長を主体とした職員の綱紀粛正及び服務規律の確保を求める決議

 

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