【緊急質問】

 6月28日、不適切な事務処理が原因となって議会に提出された、大津市下水道事業会計補正予算(第1号)について、緊急質問を行う。市長は議案の提案説明において、「これまでのコンプライアンスの取組みを一から見直す」と発言されましたが、職場風土の改善も同時に図っていただきたいと考えます。

参考:平成27年度黒津排水路雨水幹線管渠築造工事に係る報告書

参考:大津市企業局 「企業局報告・連絡・相談シート」(H28年3月29日)
 

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大津市企業局契約監理課(現、契約管財課)が作成した、「企業局報告・連絡・相談シート」によると、平成28年3月29日午後7時30分頃、工事検査室からの指摘により、同日に同室が完了検査を行った下水道部下水道整備課・下水道雨水対策室が担当する黒津四丁目地先における、平成27年度黒津排水路雨水幹線管渠築造工事の施工場所が契約場所と異なる場所において施工されていることが、雨水対策室担当者に確認した結果判明したとある。 

契約監理課は、本事件の問題点として以下の4点をあげ、翌日3月30日には、公営企業管理者、局長、次長に報告がなされている。

(1)  公文書偽造にあたる恐れがある。

(2)  当初設計が差し変わっていることから、最低制限価格が4,000円安くなる。

(3)  当初の発注内容から、工事場所を全く違う場所に変更することは、設計変更の理由にあたらず、契約解除して再発注するか、工事の目安がつくまでの間、工事の一時中止をするべきであった。

(4)  下請業者が、工事内容について適切に事務処理をしていないのではないかという疑念を抱いている。

 以下、事件の発覚から再発防止策を決定されるに至るまでの経過について質問を行う。

〇下水道雨水対策室が工事検査時に行った説明について

企業局報告・連絡・相談シートに添付された、「下水道雨水対策室による平成27年度黒津排水路雨水幹線管渠築造工事に係る報告書」において、以下の記載がある。
なお、引用において、以下●●と申し上げる箇所は、議会局を通じて企業局より資料提供のあった時点でマスキングがされている文言であることをあらかじめ申し添える。

平成28年3月29日午後7時頃

「工事検査室(現、工事監理課)●●より、本日検査を行った当該工事において、契約内容がおかしいのではないかと相談を受ける。内容としては、本日、当該工事の検査を行ったが、契約変更内容に対して変更金額が大きすぎるのではないかと疑念を持ち、監督職員に確認したところ、回答に問題はなかった。
しかし、書面検査を完了した、現場検査へいく途中に、当該工事の下請業者である●●の社員より、検査員にいうことかわからないが、当該工事が当初契約時と全く違う場所で施工されたものであるとの話をされた。
相談を受けた契約監理課工事契約担当者の●●が、当初発注時の資料を確認したところ、検査した場所と同じ●●内ではあるが、100メートル以上離れた別の場所が当初発注時の本来の施工場所であった。

 同日、午後7時30分頃

「工事の担当者である雨水対策室●●へ工事の起案を持ってきてもらうように連絡、すぐ持参してもらう。内容を確認したところ、当初の設計書の決裁部分以外すべて及び図面が差し替えられ、位置図が抜き取られていた。
平成28年3月18日に最終の変更執行伺により契約変更の事務処理を行っていたが、その時には工事の場所が変わったという説明は無く、あたかも当初から変更後の場所で施工を行っており、それに対する一般的な変更であるかのように説明を受けた。
契約担当者としても、当初設計から差し替えられているとは疑わず、事務処理を行った。このことについては、公文書偽造に相当する事態であり、重大な問題であるが、そのような認識があったか確認したところ、認識はしていると回答。
また、本件については、●●まで了承していることであるとの回答を得たため、契約監理課としては、しかるべき部署に報告させてもらう旨を説明した。

 同日、午後7時45分頃

「雨水対策室●●及び●●が来られる。先ほどと同様の説明を受けたため、改めて、●●までが了承済に間違いがないかを確認した。
間違いないとの回答を受けたため、●●として組織的として了承されたということか確認したところ、そのように受け取られても仕方ないとの回答を得た。」 

同日、午後8時頃00分頃

雨水対策室●●が来られ、同様の説明を受けた。●●まで了承されている旨についても同じ。

以上が発覚に至るまでの経過である。
ここで伺うが、工事検査室は、契約変更内容に対して変更金額が大きすぎるのではないかと疑念を持ち、監督職員に確認したところ、回答に問題はなかったと記録されている。どういった説明を下水道雨水対策室から受け、そのように認識されるに至ったのか。

〇事件の隠ぺいが継続された可能性について

書面検査を完了した、現場検査へいく途中に、当該工事の下請業者の社員より、検査員に言うことかわからないが、当該工事が当初契約時と全く違う場所で施工されたものであるとの話を受けたことで事件は発覚している。
仮に、こうした話がなければ、事件はこの時点で発覚をせず、隠ぺいが継続されていた可能性があるのかを問う。

〇不適切な事務処理に対する認識について

あってはならないことだが、検査時に不正が発覚しなければ、工事代金は工事請負費として支払われていたことになる。
下水道雨水対策室においては、不適切な事務処理の隠ぺいを企図し、検査に臨んでいるが、その後も不適切な事務処理が発覚する可能性はないものと判断していたのか。

〇事件の背景となった職場風土について

大津市公営企業管理者は、なぜ、この度の事件が発生したと考えているのか。
企業局内における職場風土に対する認識と合わせて見解を求める。

〇財政的な負担について

国から交付を受けられる予定であった交付金の返還を余儀なくされた。財源については起債をし、元利の返還については、交付税が措置されるので市民の負担はないと説明を受けた。
しかしながら、現状、交付税については、国の厳しい財政状況もあり、満額の交付を受けられていない状況が続いている。ましてや、起債の償還は数十年の長期にわたるものであり、将来的に現行の制度が維持されている保証はどこにもない。
このような状況を鑑みれば、交付金を受けられなくなったことは、財政的に大きな問題と認識をするが、その責任をどのように考えているのか。

〇事件発覚後における企業局の対応について

事件が発覚した検査日の翌日、3月30日には、公営企業管理者、局長、次長の知るところとなった。
4月11日から14日にかけて、当該事件の合議に関わった課の職員、事業長、局長を含めた18名及び事業者を対象にした聞き取りが、次長及び企業総務課長によって行われ、4月25日には、企業局が業務発注を通じて関係をもった監査法人に所属する公認会計士に資産購入費として、工事代金を支出することの妥当性について相談が行われた事実を確認している。

事務処理のあり方を決定する過程については、5月12日の午前中、下水道計画管理課から、滋賀県琵琶湖環境部下水道課に報告がなされ、同日の午後には、近畿地方整備局都市整備課に対して、前払いされている交付金の取り扱い等について相談がなされている。
翌日の5月13日には、局長と下水道計画課長によって、滋賀県琵琶湖環境部長に報告が行われ、その後、メール等によって幾度かのやり取りが行われた後、5月30日に滋賀県、6月1日に近畿地方整備局を訪問され、事務処理の方法について方針を決定されるに至ったと認識している。
当該事件が発覚した事実が大津市議会に企業局から報告されたのは、事件発覚から2ヶ月半近く経過した6月16日であり、企業債起債の同意申請窓口となる滋賀県市町振興課に対して、資産購入費として予算措置することについて最終確認がなされたのも同日であったことを確認しているが、大津市企業局は今日に至るまでの対応をどの様に評価しているのか。
事件発覚後、公営企業管理者からなされた指示を踏まえ、答弁を求める。

〇事件発覚を受けての二役の対応について

4月6日、局長、次長、企業総務課長から、まずもって副市長に報告が行われ、市長は庁内に不在であったことから、電話にて報告がなされたことを企業局への事前調査で確認をしている。
その後も調査の進捗など、二役に対して何がしらの報告がなされたと考えるが、大津市長及び副市長は事件の発覚を受け、大津市企業局に対してどのような指示を出されたのか。

〇再発防止策を策定した経過について

大津市企業局は再発防止策として、⑴コンプライアンスの徹底、⑵リスクマネジメント対策、⑶風通しの良い職場風土の構築、⑷企業局請負工事設計変更ガイドラインの遵守と周知、⑸多角的チェック体制の構築をあげられている。
事前の聞き取り調査において、どういったメンバーをもって、いつの時点で検討されたものであるのかを企業局に確認したところ、明確な回答を得ることが出来なかったが、管理職や総務担当課だけで決定するのではなく、企業局職員をあげて検討されるべきと考えるが、再発防止策を策定するに至った経過について、答弁を求める。

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〇事件発覚を受けた大津市としての対応について

当該事件については、企業局だけでなく、市長部局においても当事者意識を持って課題を共有すべきである。
なぜ、組織ぐるみで不適切な事務処理を行うに至ったのか。
誤った使命感によって大津市に対する信頼が損なわれたことは大変遺憾であり、コンプライアンス意識の醸成やさらなる研修の実施などといった従来の対応だけでなく、当事者となった職員の深層心理を理解しようとする姿勢が、大津市長及び公営企業管理者には求められるのではないかと考える。
ここであらためて、市長及び公営企業管理者の見解を問う。

 

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