予算措置のあり方

6月28日、公共施設対策特別委員会に出席。公民館のコミュニティセンター化とまちづくり協議会をテーマに所管事務調査を行いました。大津市は公民館自主運営モデル事業を通じて明らかとなった諸課題に対する対応策を具体的に示す必要がありますが、今だこれがなされていません。9月通常会議にコミュニティセンター化に向けた議案を提出する方針が示されていますが、それ以前に果たすべき説明責任があることを再認識いただきたいと考えます。
 
公民館をコミュニティーセンターとするにあたり、建築基準法上の課題認識について確認したところ、まちづくり協議会(大津市が想定する指定管理者)が新たなサービス(飲食や物販等)を提供するにあたっては、線引き(市街化区域・同調整区域)や用途地域等を踏まえた判断が必要となることから、これらについてもあわせて市民センターごとに検討を行ったとの報告がありました。
今後、調査を深めるにあたって精査すべき資料であることから、執行部に検討資料の提出を求めました。
 
午後からは、議会運営委員会が開催される。
6月26日に開催された予算決算常任委員会全体会において、議案第76号 令和元年度大津市一般会計補正予算(第2号)に対する組み替え動議が可決されたことを受け、市長から下記見解が述べられました。
 
予算組み替え動議の可決に対する市の対応(市長の発言内容)

 
本日は、議会運営委員会をお開きいただき、一昨日の予算決算常任委員会において議決された動議に関し、発言の機会を設けていただき誠にありがとうございます。
私といたしましては、動議が可決されて以降、熟慮を重ねてまいりました。
今通常会議に提出いたしました議案第76号 令和元年度大津市一般会計補正予算(第2号)の市立大津市民病院運営費負担金1億7,600万円につきましては、普通地方交付税の算入額を見直した結果、追加措置しようとしたものです。
 
現在、市民病院は、以前からの市との協議を踏まえ、経営改善計画を策定しているところであり、来月中に示される予定の同計画の今年度の見通しを見極め、9月市議会通常会議において、市民病院の短期借入金への対応を含め、本年度の運営費の一部に充てるために必要な金額を運営費負担金として計上し、改めて補正予算案を市議会に提出いたします。今年度、さらなる追加補正を行う必要のない規模で補正を行う所存です。
 
また、来年度当初予算の編成におきましては、10月中に示される予定の同計画の来年度末までの見通しに基づき、年度途中で補正が必要とならない額を、運営費負担金として、措置する予定であります。
市民病院につきましては、多くの市民が利用する病院であり、私といたしましても、法人とともに経営改善に向けた努力を続けてまいりたいと考えております。
以上のとおりでありますので、今通常会議に提出している議案第76号については、原案のとおり御議決をいただきたくお願いを申し上げます。

 

 

 
私からは、市民病院が経営改善計画を策定するに至った経緯や地方交付税と運営費負担金との間に相関関係を見出して当初予算を措置した妥当性に対する認識等について、大津市長にあらためて見解を求めました。
 
これまでから申しあげてきましたが、当初予算が措置された時点において、運営費負担金が不足することは想定できたはずです。
私には、補正予算ありきで措置された予算であったとしか思えません!!
このことは、上記市長発言(赤字部分)をもってしても明らかです。
 
地方独立行政法人市立大津市民病院は令和2年度末をもって一期目を終えることになりますが、債務超過と不良債務に対する対応方針は未だ示されておらず、本市財政運営に及ぼす影響が危惧されています。
 
私は、6月通常会議における質疑一般質問において、下記の質問を行いました。
 
(質問)
平成31年2月に大津市保健所大会議室にて開催された地方独立行政法人市立大津市民病院評価委員会において、委員長からも「次回、資金繰りと債務超過について市はどのように考えているのか必ず説明いただきたい。資金繰りもさることながら、4年間で債務超過の解消は病院単独ではできない状況である。病院は頑張っているが、市としてどこまで担保するのか、年度評価に具体的に示してほしい。このままでは病院が守られない状況である。これ以上、借入が膨らまないように病院と市できちんと話をしてほしい。」との発言がなされています。
大津市は評価委員会委員長による債務超過の解消に向けた意見をどのように受け止め、対応していく方針なのか。
平成30年度決算見込みにおける不良債務と債務超過額、また、中期計画期間内において、退職給付引当金を積立てることの必要性に対する認識とあわせて見解を求めます。
 
(答弁)
不良債務と債務超過に対する対応についてでありますが、平成30年度の決算見込みを踏まえますと、依然として、不良債務が生じている状態にあり、その規模は4億円余り縮まりましたが、約26億7,000万円余りであります。
一方で、純資産合計は、前年度に比べ約8億6,800万円余り改善し、47億5,000万円余りの債務超過となる見込みです。
また、退職給付引当金は、既に29年度において計上済みであり、そのことを組み入れた上で年度末の見通しとなっております。
本市としては、今後、法人からの経営改善に向けた取り組みの提出を求めたうえで、中期計画の終期を見据え、検討してまいります。
 
約26億7,000万円の不良債務と47億5,000万円余りの債務超過。
これが、大津市民病院の現状であり、大津市は設立団体として、評価委員会委員長の発言を重く受け止めなければなりません。
 
私が組み替え動議を提出したのは、こうした状況を踏まえてのことであり、次期中期目標策定に向けた展望を大津市議会に示すうえにおいても、大津市長はこれまでの姿勢(補正ありきの姿勢)をあらためるべきと考えます。
議会運営委員会における市長との議論そのものは有意義なものであったと評価するものですが、これまでの議会答弁は何であったのか!?との思いをあらためて強く持ちました。

 

 

議会運営委員会終了後、あらためて、予算決算常任委員会全体会が開催される。
 
経営改善計画を策定され、今年度分については、7月中には報告(業務開始は6月中旬)を受けるとのことでしたが、そもそも、市民病院は令和元年度における資金繰りについて、中期計画で上限と定められた短期借入金20億円を超えるとの想定を既に示されています。
市長からは、正確な見通しを立てるためとの主旨で説明を受けましたが、不確定要素が多い中、どこまでの実効性が期待できるのか!?
極めて短期間での検討でもあり、懸念をするものです。 
 
そもそも、令和元年度における資金繰りを見込んだ補正額となりえているのか?
賞与の支給等による一時的な資金不足、また、予定外の退職者の発生に伴う退職手当の支給等、偶発的な出費への対応を前提とする短期借入が常態化していることの評価とあわせて見解を求めました。
 
「今回の追加補正額は、本市の法人に対する運営費負担金の算定方法に従い、当初予算への計上内容に精査を加えたものであり、今年度末までに短期借入金が限度額を超過しないために行う資金支援ではありません。」

 
これが、大津市民病院が達成すべき業務運営に関する目標(中期目標)を定めた大津市の見解です。
申し上げるまでもなく、中期計画とは中期目標を達成するための計画として、大津市民病院が作成したものです。
 
6月補正予算において措置された運営費負担金の額というのは、大津市が独自に見出した地方交付税との相関関係に基づき、結果として措置されるに至ったものであり、当初予算額そのものについても、総計予算主義の原則に基づき措置されたものではない。
 
これが市長の発言を受けての私の評価であり、あらためての判断です。 
 
下記は中期計画の前文です。
はっきりと、「本計画は、大津市民病院再建計画である。」と記されています。
 

大津市民病院(以下「市民病院」という。)は昭和12年4月の開設以来、市民の安心・安全の一翼を担い、地域の中核病院として市民の期待に応え、最適な医療を提供してきた。近年、医療の高度化、保健・衛生・福祉の充実等により平均寿命が延伸する一方で、出生数の減少により少子高齢社会が進展し、2025年には3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となり、医療や介護への需要が増大、社会保障給付費の増大は国の財政にも深刻な影響を与えている。国では、少子高齢社会に対応した社会保障制度の構築に向けて、医療・介護分野において、高度急性期から慢性期までの病床機能分化や在宅医療を推進し、多職種協働の強化により、「病院完結型」から「地域完結型」を目指す方向へと変化してきている。一方、地域における基幹的な公的医療機関である公立病院は、地域医療確保のために重要な役割を果たしているが、財務状況の悪化等により厳しい経営状況に置かれていることから、経営の効率化を図り、持続可能な病院経営
を目指すため、更なる公立病院改革が求められている状況にある。
 
市民病院においても、近年、医業収益(入院・外来収益)の増加に対し、人件費を始めとした医業費用の増加が過大となり、赤字決算が続き、経営状況は悪化し、今後の病院運営は大変厳しい状況となっている。
 
病院の開設者である大津市は、こうした国の医療政策の変化や市民病院の経営体制の見直し、経営改善に向けた課題解決に対応していくため、平成26年9月の大津市民病院あり方検討委員会の提言、また、平成27年7月の大津市民病院経営形態検討委員会の答申を踏まえ、市民病院の経営形態の見直しを決断し、地方公営企業法一部適用から地方独立行政法人への移行の方針を決定し、このたび地方独立行政法人市立大津市民病院として新たなスタートを切ることとなった。
 
しかしながら、地域に必要とされる事業であっても、収支が成り立たない事業では継続することはできず、法人組織に移行したからといって、すぐに経営状況が劇的に好転するものではない。そこには職員一人ひとりの経営改善に向けてのたゆまぬ努力が必要であり、地方独立行政法人の特長である柔軟性や迅速性を活かし、経営の自由度を最大限かつ有効に発揮し、定款で定められた法人設立の目的に向かい、全職員の意識改革と自己変容の下、職員一丸となって経営収支の黒字化を目指して、経営改善に取り組み、健全な病院運営に努めなければならない。 本計画は、大津市民病院再建計画である。
 
今後も、市立病院であることに何ら変わりなく、「市民とともにある健康・医療拠点」として、地域の医療機関と積極的に連携し、市立病院としての使命と責務を果たし、より最適な医療を、より最適な時に、より最適な形で提供し、大津市長から示された中期目標を達成するため、次のように中期計画を定める。
 
6月補正予算を審査するにあたり、
地方独立行政法人市立大津市民病院評価委員会における前年度の会議結果を公表されている報告書要旨で確認をいたしました。
短期借入金や運営費負担金のあり方について指摘を受けていながら、地方交付税に参入される額ありきでの予算措置となっており、地方独立行政法人法に定められた、事務及び事業の特性並びに業務運営における自主性が十分に配慮されたとは評価しがたいと判断するものです。

そしてそもそも、市長は動議が可決されて以降、熟慮を重ねてきたと議会運営委員会で発言されましたが、補正予算を提出した後において、さらなる追加補正を行う必要のない規模で補正を行う方針を示すこと自体、当初予算額の妥当性を否定するものと考えます。
 
これらのことから、組み替えによって速やかに対応すべきとの考えに変わりはなく、私は、原案に反対をいたしました。
大津市民病院再建計画と位置付けられた中期計画に基づく年度計画が形骸化していることを、大津市長にはあらためて重く受け止めていただきたいと考えます。

収支計画における運営費負担金収益と予算措置の現状とが全くもって見合っておりません!!
 

«
»