経営改善計画

8月20日、経営改善計画の進捗状況を確認するため、地方独立行政法人市立大津市民病院から理事会会議録(7月開催分)の開示を受ける。大津市から開示を受けた際には非開示であった発言者(理事長・理事・事務局等)についても、今回は確認をすることができました。
同じ大津市情報公開条例に基づく手続きでありながら、大津市長あての申請では非開示、理事長宛の申請では開示、なぜなんだ?と思いました。取り扱いについては、しっかりと統一されるべきと考えます!!
 

議事録によると、理事会で承認された経営健全化計画に対し、大津市長は異を唱えられました。
6月補正予算に対する組み替え動議が予算決算常任委員会で可決された後に開催された議会運営委員会において、直接市長に意見を申し述べましたが、法令で定められた地方行政法人の業務運営に対する自主性に対する配慮のあり方について認識を持ちなおされるべきと考えます。
 
市長は6月28日に開催された議会運営委員会において、「市民病院は以前からの市との協議を踏まえ、経営改善計画を策定しているところであり、来月中に示される予定の同計画の今年度の見通しを見極め、9月市議会通常会議において、市民病院の短期借入金への対応を含め、本年度の運営費の一部に充てるために必要な金額を運営費負担金として計上し、改めて補正予算案を市議会に提出いたします。」
と述べられました。 

しかしながら、その結果は下記のとおりです。
市民病院の経営を健全化させるべく、市長は使命感をもって取り組まれているのでしょうが、対応がかみ合っていないと感じました。
 

(7月26日 2019年度 第4回 理事会終了後における発言:会議録より引用)
 
市長:9月補正の関係で、法人から7月末までに経営改善計画を出してもらい、それを市が上で9月補正において今年度の年間の必要な金額を出すことを公にしている。
今日出た経営改善計画は事前に確認し病院側に伝えているが、これは事前に市が想定した経営改善計画ではない。病院から6月に出た経営改善計画の項目が記されたもの※(6月19日開催の外部理事・市との協議における資料記載の1検討項目(2)支出削減に向けた改善策の検討<別添参照>)が、本来の改善計画であると思っている。
この抜粋版はあくまでも資金繰りの見通しである。
経営改善計画は、理事会の中で、理事・監事からも発言があったとおり、どのくらいの改善、どのくらいの収入アップや診療単価があがるとか、診療科ごとにどのような目標を作ってやっていくのかまで含んだものである。
今出ているものは資金計画であるので、これをもって補正予算ということができない。
法人からは8月上旬に経営改善計画ができると聞いているので、次の理事会までに各理事にご意見いただき、提出してもらいたい。
それをもって、9月補正をしたいと考えている。

 
理事:9月補正にかけるためには、時期はいつまでに必要となるのか。
 
市長:次回の理事会の8月30日では、9月補正予算に間に合わないので、お盆までに理事・監事に意見をいただきたい。

 
理事:経営改善計画と市の補正予算の関係性が分からない部分がある。補正予算は資金繰りを見て出さないといけない。一方で経営改善計画は、本来、行政のお金がどれだけ極小化できるかという目標設定である。今年度の短期的な部分と、来年以降の中期的な部分を分けた議論をしなければならないと思う。
 
市長:経営改善計画は、今年度と3カ年分あると聞いている。
 
事務局:8月上旬に出るのは、最終形ではなく中間報告の形であるということでお願いしたい。
 
理事長:経営改善計画は、あくまでも地方独立行政法人としてのものである。

 
…引用終わり…
 
そして下記は、6月26日に開催された予算決算常任委員会全体会において、議案第76号 令和元年度大津市一般会計補正予算(第2号)に対する組み替え動議が可決されたことを受け、市長から述べられた見解です。
 
予算組み替え動議の可決に対する市の対応(市長の発言内容)
 
本日は、議会運営委員会をお開きいただき、一昨日の予算決算常任委員会において議決された動議に関し、発言の機会を設けていただき誠にありがとうございます。
私といたしましては、動議が可決されて以降、熟慮を重ねてまいりました。
今通常会議に提出いたしました議案第76号 令和元年度大津市一般会計補正予算(第2号)の市立大津市民病院運営費負担金1億7,600万円につきましては、普通地方交付税の算入額を見直した結果、追加措置しようとしたものです。
 
現在、市民病院は、以前からの市との協議を踏まえ、経営改善計画を策定しているところであり、来月中に示される予定の同計画の今年度の見通しを見極め、9月市議会通常会議において、市民病院の短期借入金への対応を含め、本年度の運営費の一部に充てるために必要な金額を運営費負担金として計上し、改めて補正予算案を市議会に提出いたします。今年度、さらなる追加補正を行う必要のない規模で補正を行う所存です。
 
また、来年度当初予算の編成におきましては、10月中に示される予定の同計画の来年度末までの見通しに基づき、年度途中で補正が必要とならない額を、運営費負担金として、措置する予定であります。
市民病院につきましては、多くの市民が利用する病院であり、私といたしましても、法人とともに経営改善に向けた努力を続けてまいりたいと考えております。
以上のとおりでありますので、今通常会議に提出している議案第76号については、原案のとおり御議決をいただきたくお願いを申し上げます。

 
私は、原案に対する反対討論において、経営改善計画の作成期間を問題視いたしましたが、結果は上記のとおりです…。

 
地方独立行政法人法
(中期目標)
第二十五条 設立団体の長は、三年以上五年以下の期間において地方独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)を定め、当該中期目標を当該地方独立行政法人に指示するとともに、公表しなければならない。当該中期目標を変更したときも、同様とする。
2 中期目標においては、次に掲げる事項について具体的に定めるものとする。
一 中期目標の期間(前項の期間の範囲内で設立団体の長が定める期間をいう。以下同じ。)
二 住民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項
三 業務運営の改善及び効率化に関する事項
四 財務内容の改善に関する事項
五 その他業務運営に関する重要事項
3 設立団体の長は、中期目標を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴くとともに、議会の議決を経なければならない。
(中期計画)
第二十六条 地方独立行政法人は、前条第一項の指示を受けたときは、中期目標に基づき、設立団体の規則で定めるところにより、当該中期目標を達成するための計画(以下「中期計画」という。)を作成し、設立団体の長の認可を受けなければならない。当該中期計画を変更しようとするときも、同様とする。
2 中期計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 住民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
二 業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
三 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画
四 短期借入金の限度額
四の二 出資等に係る不要財産又は出資等に係る不要財産となることが見込まれる財産がある場合には、当該財産の処分に関する計画
五 前号に規定する財産以外の重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画
六 剰余金の使途
七 その他設立団体の規則で定める業務運営に関する事項
3 設立団体の長は、第一項の認可をした中期計画が前条第二項第二号から第五号までに掲げる事項の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その中期計画を変更すべきことを命ずることができる。
4 地方独立行政法人は、第一項の認可を受けたときは、遅滞なく、その中期計画を公表しなければならない。

 

あらためて感じるのは、国からの地方交付税額を前提とした当初予算額は一体、何であったのか!?
ケアセンターおおつの廃止に伴い退職金が必要となったため、また、当初計画時よりも運営費負担金が少なかったことから、資金不足を補うため、追加で7億4千万の短期借入が行われました。
その結果、平成30年度末における短期借入金は、限度額20億円に対して約19億1千万となりました。
平成30年度末のキャッシュフローを想定すれば、適切な額でなかったことは明らかです。
 
6月補正予算においても、補正額では資金ショートすることを5月の理事会で認識しながら、明らかに不足する額が措置された予算が提出されました。
普通地方交付税額の見直しに伴う措置であることは認識するものの、このことは、当初予算審査時に指摘をした総計予算主義以前の問題であり、組み替え動議が提出されるに至った要因を市長は自ら検証されるべきとも考えます。
 
6月通常会議における質疑一般質問に対する答弁は、大津市議会に対してあまりにも不誠実でした。
市長には現状を踏まえ、ぜひとも読みかえしていただき、9月通常会議に臨んでいただきたいと期待するものです。

理事会の最後、理事長は「経営改善計画は、あくまでも地方独立行政法人としてのものである。」と発言されています。
私はそもそも、設立団体の長である市長の理事会への出席が常態化していること自体に強い違和感を覚えています。
理事長は市長自らが「当該地方独立行政法人が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者」そして、「当該地方独立行政法人が行う事務及び事業を適正かつ効率的に運営することができる者」として任命された方であり、理事会で承認された内容に対してその場で異を唱えられるのは、地方独立行政法人法の趣旨からも馴染まないと考えます。

 
追記:2期目となる令和3年度以降については、大津市が定める次期中期目標ならびにこれを達成するために病院が作成する中期計画によって経営改善は図られなければなりません。
現在作成されている経営改善計画の取り組み期間は現中期目標の取り組み終期である令和2年度末を超えていると認識していますが、そもそも、中期計画に基づく年度計画の形骸化そのものが問題であり、前文において「大津市民病院再建計画」であると明記したのであれば、地方独立行政法人法の定めに基づき、大津市長はその変更を求めるべきと考えます。

年度計画については、毎年、法令に基づき公表されていますが、意義が全く感じられません!!
 
現在、地方独立行政法人の定款には、看護師養成所の運営を行うことが記されています。
廃止に伴う定款変更を行うにあたっては、財政的基礎を有するため、滋賀県に対して債務超過と不良債務に対する対応方針を明らかなものにしなければなりません。
スケジュール感をしっかりと持ちつつ、必要な指摘と提言を行ってまいります。

 

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