大津市消防局による安全を最優先とした組織文化の醸成について( R7. 8)

質問 

令和6年8月1日、訓練中の事故で亡くなられた青木裕樹消防士に心より哀悼の意を表します。事故を決して風化させることなく、再発防止に向けた取り組みを絶え間なく継続いただくことを心から願うものです。
 
令和7年4月1日、大津市消防局は「訓練時における安全管理マニュアル」を新たに策定し、運用を開始しました。安全管理意識の定着に係る章には、新しい資器材、技術及び活動要領等の導入、訓練や現場活動で発生した事故事例及びヒヤリハット事例の追記、各論に記載がない訓練の安全管理体制の追記等、当該マニュアルが常に時代にあった有効なものになるよう、随時見直しを図ることが記されており、同年8月1日には、各論部分の変更・追記が行われています。過日、大津市情報公開条例の規定に基づき、同マニュアルの開示を受けました。巻頭にて、大津市消防局長が述べられている言葉を引用させていただきます。

 

大津市消防局は、令和6年8月1日に発生した訓練中の事故により、かげがえのない職員を失いました。事故に至った要因は、総じて安全管理意識が欠如していたと考えられ、このことを重く受け止め、組織全体として改革に取り組んでいかなければなりません。

訓練施設、資器材、体制、意識、全てにおいて根本から見直し、重大事故を根絶することを目的とし、職員一人ひとりの安全管理に対する意識改革を図らなければならず、特に安全を最優先とした組織文化を醸成していくため、その一歩として、大津市消防局の「訓練時における安全管理マニュアル」を作成しました。

本マニュアルに記載した内容を遵守し、職員一人ひとりが安全に対して徹底した意識を持つことで安全管理体制を定着させることが重要です。

災害現場に安全な状況はなく、常に危険な環境下での活動となり、その様な現場であっても、組織は全ての職員を元気な姿で家族のもとに帰す責任があります。それは、訓練においても同様です。

事故を決して忘れてはいけない、事故を決して繰り返してはいけない、そのことを強く誓い、我々は今後、活動していかなければなりません。終わりなき安全を追及し「すべての人命を守り抜く」ために。
 
令和7年4月 大津市消防局長

 

 

引用は以上となります。
 
また、大津市消防局は令和7年度大津市議会総務常任委員会初会合における説明資料において、大津市消防局職員は、重大事故を生涯記憶に刻み、忘れない、二度と起こさない、決して風化させないよう、未来永劫にわたり職員全員に伝承する。再発防止に向けた取組を全力で推し進め、安全管理体制の構築を図る。職員全員が安全管理に対する意識の改革を図り、知識と技術の終わりなき高みを追求し続け、徹底した安全文化の醸成を図ると述べておられます。私は、これらの言葉を大津市消防局の断固たる決意、不断の努力を続けていくことへの誓いと受け止め、以下5点、質問を行います。

 

1点目、「訓練時における安全管理マニュアル」の実効性を高めるための取り組みについて。大津市は令和6年8月1日に発生した訓練中の事故を受けて、再発の防止を図るべく、全職員を対象にアンケートを実施されています。外部有識者によって組織された大津市消防局訓練事故検証委員会においても、安全管理体制については、現場の声を抽出したうえで、分析を進めるべきとの指摘がなされており、当該マニュアルの実効性を高めるうえにおいても大変重要な取り組みと考えます。
 
大津市消防局は「訓練時における安全管理マニュアル」を策定・改正するにあたり、消防隊員が訓練時に感じてきた不安や寄せられた安全性の向上に資する指摘・提言等をどの様に受け止められ、その内容に反映されたのでしょうか。今後の効果的な見直しに向けて不可欠となる、風通しのよい職場風土の構築に向けた取り組み方針とあわせて見解を求めます。

 
また、「訓練時における安全管理マニュアル」には、安全管理意識の定着を図るにあたり、当該マニュアル以外の各種活動マニュアルについても、現場実態に合わせたより安全な活動を目指した内容への更新を意識して訓練を実施し、随時必要な見直しを図る意識づくりに努めることが記されています。大津市消防局はこれらの取り組みを将来に渡って持続させていくため、具体的にどの様な働きかけを消防局職員に行っていかれるつもりなのか。見解を求めます。
 
私は、大津市消防局がどの様な姿勢、取り組みのもとで安全を最優先した組織文化を醸成されようとしているのか、消防局職員のみならず、将来に渡って広く市民と共有いただくことは、事故を風化させないためにも、大切なことであると考えます。大津市消防局が作成された「訓練時における安全管理マニュアル」を早期にホームページで公表されることについて、見解を求めます。

 

 

2点目、安全管理資器材の適正な整備について。外部有識者によって組織された大津市消防局訓練事故検証委員会において、「安全管理資器材を予算の中で組織としてしっかりと整備し、訓練できる環境を整えたうえで訓練を実施するべきである」との意見が出されています。大津市消防局は当該意見をどの様に受け止め、安全管理資器材の整備にあたられてきたのでしょうか。

 

3点目、訓練時における安全管理を対象とした評価のあり方について。大津市消防局は大規模災害活動対応事業の事務事業評価にあたって、激甚化・頻発化・広域化する災害に加え、テロを含むNBC災害や予測困難な感染症等にも安全・的確に対応する必要があり、これら災害から市民の生命、身体及び財産を保護するため、かつ隊員の安全確保と負担軽減のため、消防活動資機材全般の更新整備を図るとしています。令和6年9月に行われた令和5年度を対象とした当該事務事業評価では、定性評価のうち、有効性については、「適切な更新整備により安全かつ迅速な活動に繋がっている」とされ、効率性については、「的確な活動と隊員の安全確保に繋がっている」と評価されています。
 
大津市消防局による「訓練時における安全管理マニュアル」の策定を契機として、訓練時における安全管理のあり方についても、組織をあげて評価されることを提言するものです。今後の取り組み方針について見解を求めます。

 

4点目、資器材等の適正な維持管理について。「訓練時における安全管理マニュアル」においては、安全管理上の留意事項として、個人装備は、各自説明書等を熟読し、適正に使用できるよう管理すること、また、訓練内容に応じ、定められた装備及び安全器具を事前に点検し、強度劣化、破損等がないものを正しく確実に着装することなどが記されています。
 
修理履歴を含む点検の結果については、それぞれの所属とあわせて大津市消防局内において認識を共有されていると承知していますが、製造元のメーカーが推奨する定期点検は確実に実施されているのでしょうか。また、消防局職員が資器材等の安全性を確認するにあたり、留意点を明確にするなど、点検要領は作成されているのでしょうか。あわせて見解を求めます。

 

5点目、消防五訓のあり様について。平成25年3月、大津市消防局は「職責の自覚」、「厳正なる規律の保持」、「奉仕と絆の精神」、「資質の向上」、「明日への挑戦」からなる消防五訓を制定しました。令和7年版消防年報によると、全職員が目指すものを共有するとともに、消防局を偲ぶ言葉として制定されたとあります。
 
大津市消防局は安全を最優先とした組織文化の醸成を図るにあたり、また、令和7年度大津市議会総務常任委員会初会合で示された「重大事故を生涯記憶に刻み、忘れない、二度と起こさない、決して風化させないよう未来永劫にわたり、職員全員に伝承する」との決意と誓いを実現していくため、消防五訓をどの様に位置付けられているのでしょうか。
 
また、大津市消防局は消防五訓を「消防局を偲ぶ言葉」として制定したと公表されていますが、意味するところが不明確であると考えます。大津市消防局にとって、また、大津市消防局に勤務される全ての職員にとって、消防五訓はどの様な言葉なのでしょうか。安全を最優先とした組織文化の醸成に大きな影響を及ぼすものと考え、見解を求めます。
 

答弁:消防局長 

1点目の「訓練時における安全管理マニュアル」の実効性を高めるための取り組みについてのうち、1つ目のマニュアルを策定・改正するにあたり、消防隊員から寄せられた指摘・提言等をどの様に受け止め反映したのかについてでありますが、日々の訓練において職員が感じてきた不安や安全性の向上に資する意見等についてしっかりと受け止め、不安の解消を図るとともに、安全管理体制と安全管理意識に関する意見をマニュアルに反映しました。また、風通しの良い職場風土の構築に向けた取り組み方針としては、階級を越えた積極的なコミュニケーションを図ることができるよう環境作りに努めております。
 
2つ目の当該マニュアル及び各種活動マニュアルにかかる安全な活動を目指した見直しを図る意識づくりの働きかけについてでありますが、安全管理研修や訓練の事後検証を繰り返し、職員一人ひとりの安全意識の向上を図ってまいります。
 
3つ目の「訓練時における安全管理マニュアル」をホームページで公表することについての見解でありますが、本マニュアルは、訓練の実施手順や安全管理上の責務など、消防職員に対して統一することを目的としたものであるため、公表する性質のものではないと考えております。
 
2点目の安全管理資器材の適正な整備について、大津市消防局訓練事故検証委員会の意見をどの様に受け止め、安全管理資器材の整備にあたられてきたのかについてでありますが、外部有識者からの意見をもとに、訓練環境の安全性を確保するため、安全マットなどの安全管理資器材を早期に追加配備したもので、今後も必要な資器材を計画的に整備してまいります。
 
3点目の訓練時における安全管理を対象とした評価のあり方について、組織をあげて評価することと今後の取り組み方針についての見解でありますが、訓練の事後検証結果を分析するとともに、現場で活動する隊員からの意見を収集し、必要に応じて訓練マニュアルを見直し、継続して評価と改善に取組んでまいります。
 
4点目の資器材等の適正な維持管理について、製造元のメーカーが推奨する定期点検を確実に実施しているのかについてでありますが、法定点検については定期に実施しており、メーカーが推奨している定期点検につきましても、資器材の状況に応じて実施しております。

また、資器材等の安全性の確認方法については、取扱説明書の記載事項に則った日常点検に加え、使用前後の点検を実施しております。
 
5点目の消防五訓のあり様についてのうち、1つ目の安全を最優先とした組織文化の醸成を図るにあたり、消防五訓をどの様に位置付けられているのかについてでありますが、消防五訓は消防職員総意のもと平成25年3月7日の消防記念日に制定されたもので、全ての人命を守り抜くという消防使命の根幹に位置付けられております。
 
2つ目の消防局に勤務される全ての職員にとって、消防五訓はどの様な言葉なのかについてでありますが、消防五訓は全消防職員が目指すものを共有するとともに退任後も市消防局を偲ぶ言葉として制定されたもので、消防局に集う全ての消防士一人ひとりが、高い志を持ち、組織目標の達成に向かって、どのような困難をも克服し、常に理想の追求とたゆみない努力を重ねながら、邁進してほしいという願いが込められた言葉となっております。

 

再質問 

私、初問の問いにて、このように申し上げました。もう一度述べさせていただきます。「大津市消防局がどのような姿勢、取り組みのもとで安全を最優先した組織文化を醸成されようとしているのか。消防局職員のみならず、将来にわたって広く市民と共有いただくことは、事故を風化させないためにも大切なことであると考えます。大津市消防局が作成された訓練時における安全管理マニュアルを公表いただく考えはないでしょうか。」という問いを、させていただきました。

 

訓練事故から1年以上が経過をしました。先ほど議場に入らせていただく前に大津市消防局のホームページ、あらためて拝見をいたしましたが、大津市消防局がどのような方針のもと、考えのもとで、安全を最優先とした組織文化の醸成に取り組んでいかれようとされているのかということについて、今日の時点で、市民に対して情報の発信がなされていません。

私、このマニュアルの冒頭で消防局長が記された言葉を拝読させていただき、市民とともにある大津市消防局として、この言葉を広くお伝えをいただきたいと願い、この項の質問をさせていただきました。改めて見解を求めます。
 

答弁:消防局長 

再度の質問についてお答えいたします。谷議員からこのマニュアルの公表について、公表しないのかという質問がございました。この質問につきましては、初問でお答えしました通り、ホームページには公表する性質でないものであるというふうに考えております。しかしながら、私ども市民の皆様には説明する責任を強く認識しておりますので、適時適切に公表するべき情報は発信し、市民から信頼される組織を目指してまいります。

関連する 議会活動の
指摘・提言
  • 大津市消防局による安全を最優先とした組織文化の醸成について(R7.8)
  • 開設から50年目を迎えた大津市民会館の今後のあり方について(R7.8)
  • 浜大津バスターミナル上屋の耐震性能と大地震発生時における天井の安全性について(R7.8)
  • 大地震・巨大地震発生時における災害対応力の強化に向けた取り組みについて(R7.6)
  • 大地震・巨大地震発生時における災害対応力の強化に向けた取り組みについて(R6.12)
  • 誰もが安心して安全に利用できる皇子が丘公園であるために必要な取組みについて(R6.9)
  • 旧耐震基準で建築された児童館の耐震性能確保に向けた取組みについて(R6.9)
  • 市有施設における特定天井の安全対策について(R6.9)
  • 大地震・巨大地震発生時における災害対応力の強化に向けた取り組みについて(R6.2)
  • 防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みについて(R5.9)
  • 大地震の発生を想定した復興事前準備の推進に向けた取り組みについて(R5.9)
  • 大地震発生時に指定避難所の開設可否を速やかに判断するために必要となる平常時の取り組みについて(R5.6)
  • 大津市庁舎整備基本計画の策定に向けて必要となる今後の取り組みについて(R5.2)
  • 大津市庁舎整備基本計画の策定に向けて必要となる今後の取り組みについて(R4.12)
  • 市民生活に深刻な影響を及ぼす豪雨災害への対応力強化について(R4.9)
  • 大津市庁舎整備推進本部会議において皇子山総合運動公園を「優先して検討を行うおおよその候補地」として決定されるまでの経過と庁舎移転整備に対する大津市長の課題認識について(R4.6)
  • 大規模地震発生時において施設管理者等が避難所施設の安全性を確認するために必要となる平常時からの取り組みについて(R4.6)
  • 大津市避難所施設応急危険度判定士の制度構築に向けた取り組みについて(R4.3)
  • 防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みについて(R4.3)
  • 避難情報の発令を危険な場所からの避難行動につなげるための取り組みについて(R3.9)
  • 庁舎整備基本構想策定に向けた取り組みについて(R3.9)
  • 大規模地震発生時に指定避難所を速やかに開設するために必要となる取り組みについて(R3.6)
  • 庁舎整備基本構想の策定にあたって市民意見を聴取しない理由と同基本計画の策定着手までに行うべき取り組みについて(R3.6)
  • 大津市新型インフルエンザ等対策業務継続計画の実効性を高めるための取り組みについて(R2.11)
  • 防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みについて(R2.11)
  • 防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みについて(R2.9)
  • 火災予防対策に資する飛沫防止用シートの適切な設置について(R2.6)
  • 大規模災害発生時における業務継続計画の実効性を高めるための取り組みについて(R2.2)
  • 防災拠点施設でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎ならびに中消防署の整備に向けた取り組みについて(R2.2)
  • 災害対応力の強化に向けた取り組みについて(R1.11)
  • 災害対応拠点でありながら必要な耐震化が今もって図られていない本庁舎の整備に向けた取り組みについて(R1.6)
  • 中消防署の移転整備に向けた取り組みについて(H30.11)
  • 事前復興計画の策定に向けた取り組みについて(H30.11)
  • 市有施設における擁壁の適切な維持管理について(H30.9)
  • 地震発生に伴う避難所開設を円滑かつ安全に行うための取り組みについて(H30.9)
  • 通学路の安全対策について(H30.9)
  • 中消防署用地の選定に向けた取り組みについて(H30.9)
  • まちづくり協議会がコミュニティセンターの運営を担う上での課題について(H30.6)
  • 防災上の課題となっている本庁舎、中消防署の整備に向けた取り組みについて(H30.2)
  • 庁舎整備基本計画の策定に向けて必要となる取り組みについて(H29.9)
  • 危機管理体制の強化について(H29.6)
  • 庁舎整備の推進に向けた取り組みについて(H29.2)
  • 土砂災害計画区域の指定が庁舎整備計画に与える影響について(H28.11)
  • 大津びわこ湖競輪場跡地の利活用に向けた取り組みについて(H28.9)
  • 防災力の強化につながる取り組みについて(H28.2)
  • 隣接国有地を活用した庁舎整備のあり方について(H28.2)
  • 隣接国有地を活用した庁舎整備のあり方について(H27.11)
  • 市民センターにおける災害対応力の強化について(H27.6)
  • 市民センター機能等のあり方検討事業について(H27.2)
  • 家具等転倒防止対策の向上に向けた取り組みについて(H26.11)
  • 大規模盛土造成地の変動予測調査について(H26.11)
  • 家具転倒防止対策の推進に向けた取り組みについて(H26.6)
  • 市有建築物の耐震化に向けた取り組みについて(H26.2)
  • 家具等の転倒防止対策について(H24.2)
  • 家具転倒防止器具の設置率を 向上させる取り組みについて(H23.9)
  • 庁舎本館棟の耐震化について(H20.12)
  • 新型インフルエンザ対策について(H20.9)
  • 災害時要援護者支援について(H20.6)
  • 庁舎のあり方について(H20.2)
  • 防災対策について(H19.12)