近江八景と旧東海道でつながる草津市と連携したまちづくりについて( H24. 2)

質 問

   去る平成24年1月29日、近江新八景ルールとして大津市で実施された高度地区の拡充から1年が経過したこと、また本年度草津市が景観行政団体に移行したことを記念して、社団法人滋賀県建築士会大津支部及び同湖南支部の主催、共催による事業「近江八景でつながる琵琶湖の風景、急がば回れ瀬田の唐橋」が開催された。
  
 第1部においては、「急がば回れ」の慣用句にちなんで、唐橋を経由する組と矢橋を経由して乗船する組に分かれ、草津宿本陣から大津宿本陣跡までを江戸時代の装いをイメージした装束で移動された。大津市及び草津市において都市計画を担当される職員の方々も参加され、多くの市民から激励が送られた。

 第2部のパネルディスカッションにおいては、旧東海道を生かしたまちづくりや共有すべき理念について両市から意見が出され、広域的な取り組みの可能性については、他市における事例も参考にしながら、連携のあり方について議論がなされたところである。
  
 視察に訪れた山口県下関市においては、平成10年8月に関門海峡を挟んで対岸に位置する福岡県北九州市と関門景観協定を締結され、両市が協力して海峡全体の個性ある景観をつくることを目標とし、関門景観基本計画検討委員会が組織された。平成11年10月には、市民の目から見た関門景観を検討する海峡市民会議を開催され、関門八景探しについて議論されるなど、人の思い入れや心象風景にも配慮した計画を策定されている。平成13年2月には、関門景観共同宣言が実施され、同年10月には全国初となる複数の自治体による同一名称、同一条文の関門景観条例が制定された。この条例は、建築物だけでなく、海峡の自然、歴史、文化の保全を視野に入れた条例であり、関門景観審議会を共同で設置するなど、魅力ある関門景観の保全に広域的な見地から取り組んでおられる。
 特に、今年度は条例制定から10年目を迎える年であり、地元建築士会とも共催で、五感で感じる関門景観10選を実施され、両市民の関門景観に対する関心を市民との協働により高めておられた。

 草津市との連携強化については、平成23年5月定例会において、ともに受け継いでいく貴重な財産である近江八景に代表される琵琶湖の景観、また旧東海道の歴史的な景観、それぞれの景観形成のあり方をともに検討し、推進していくことが大切であるとの考えを示された。そのためには、これまで実施してきた会議を継続的に開催するだけではなく、担当者レベルでの意見交換や情報交換をさらに密にして行い、これらを積み重ねていくことにより、今後地域を超え、将来の市民に継承する魅力ある景観づくりができるような仕組みをつくっていきたいとされているが、現時点においてどのような仕組みが望ましいと考えておられるのか、両市が共有すべき理念の構築に向けた今後の取り組みとあわせて答弁を願う。
 また、旧東海道沿いに設置されている案内看板や距離標のデザインを草津宿本陣から大津宿本陣跡までの間、統一されてはどうか。草津宿本陣から大津宿本陣跡までを徒歩で移動したが、案内看板の設置が不十分と思われる場所もあり、草津市と連携して取り組むことで、観光面においても一定の効果があると考えるが、本市の見解を問う。 

答弁:都市計画部長

 地域を超え、将来の市民に継承する魅力ある景観づくりができるような仕組みづくりについてであるが、大津市と草津市は日本一の琵琶湖という大景観を挟んで向かい合い、また旧東海道の宿場町であるなど、古来より大変深いつながりがある。それは時代とともに変化したものの、今後も変わらない関係である。
両市が共有すべき理念としては、かけがえのない宝である琵琶湖と街道でつながる景観やまちなみを両市民が認識し、魅力ある景観づくりができるよう一体となって取り組み、近江八景という歴史景観を後世に引き継いでいくことと考えている。そのような理念の構築に向けた取り組みとして、草津市と平成22年度から両市関係部局との間で会議を行い、景観やまちづくりについて、両市の状況や施策を協議してきた。
また、今回の滋賀県建築士会の両支部が実施された事業には、大津市長をはじめ両市の職員も参加し、あらためて両市のつながりを認識する大変よい機会になったと考えている。このような両市の連携を深める取り組みや市民団体等とのさまざまな交流の場をつくることは大変意義深いものであり、さらに連携を強化するための新たな組織づくりも進めてまいりたい。
次に、旧東海道沿いに設置されている案内看板等についてであるが、両市をつなげる旧東海道の観光のPRや歴史的な街道景観の演出にデザイン等を統一した案内看板等の設置は有効な手段であると考えており、今後草津市との協議課題の一つにしてまいりたい。 

再 問

 案内看板や距離標についても、構築される組織で協議されることが望ましいと考えるが、新たな組織づくりという点について、もう少し詳細に答弁をいただきたい。 

答弁:都市計画部長

 新たな組織づくりというのは、大津市と草津市がともに同じ立場に立って、信頼を持って話し合いをすることである。その場合には、両市長にお会いいただき、議員提案の景観のこと、まちづくりのこと、あるいは統一してやれる事業のことなどを協議していただく、そしてできるものについてはお互いに協力をして実現をしていく、そういう場を設けていきたいということである。 

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