大規模地震発生時における災害対応力のさらなる強化に向けた取り組みについて( R8. 3)
質問
大津市は平成28年10月、大規模災害時における業務の継続及び早期の再開を目的として、大津市業務継続計画【震災対策編】(以下、「業務継続計画」)を策定しました。「行政の被災」をあらかじめ想定し、発災後1ヶ月以内に実施すべき応急対策業務や早期実施復旧業務、災害時でも優先的に実施しなければならない優先度の高い通常業務について定め、地域防災計画の実効性を高める計画と位置付けられています。業務継続の基本方針として、「大規模地震から市民の生命、身体及び財産を保護するため非常時優先業務の遂行に全力をあげること」、「全庁的な協力体制のもと、非常時優先業務を実施するために必要な資源の確保に努め、最大限有効に活用すること」、「想定される大規模地震に備え、平常時であっても全庁的な取組みとして業務継続力の向上に努めること」が掲げられており、執務環境の確保を図るため、施設の応急復旧については、「災害時本庁舎・市施設管理マニュアル」が整備されていると明記されています。
当該マニュアルは大津市地域防災計画に基づき策定された「災害時大津市職員行動マニュアル」に位置付けられた28項目のうちの1つであり、勤務時間内と勤務時間外に区分して定められています。しかしながら、業務継続計画【非常時優先業務編】に定められている総務部管財課及び建設部建築課が取り組む応急業務の対応手順との整合は図られておらず、部局名についても正しく表記されていません。この他の部局別災害対応マニュアルについても、下水道の所掌が企業局でなく建設部のままとなっているマニュアル、自衛隊との危機管理に係る対応について、政策調整部から総務部への移管が反映されていないマニュアルが確認されており、「災害時大津市職員行動マニュアル」は全般に渡って形骸化していると評価するものです。

投影している画像は、大津市業務継続計画に記された同計画の位置づけです。本来であれば、「災害時職員行動マニュアル」ならびに「部局別災害対応マニュアル」と整合を図る必要があります。これらの現状を踏まえ、大規模地震発生時における災害対応力のさらなる強化を図るべく、以下2点質問を行います。
1点目、「災害時大津市職員行動マニュアル」のあり方について。大津市は平成22年8月に大津市危機管理基本計画を策定し、令和7年4月には組織機構の変更に伴う見直しが行われています。各部局は当該基本計画に基づき個別に危機管理体制計画を保有しており、災害対策基本法や国民保護法に係る取り組みについては、国や滋賀県の対応方針が反映されたものになっていると承知しています。しかしながら、「災害時大津市職員行動マニュアル」は平成17年4月に作成され、平成20年3月に修正されて以降、およそ18年間、一度も改訂が行われないまま現在に至っています。
このうち、「災害時本庁舎・市施設管理マニュアル」については、大津市業務継続計画や大津市災害時受援計画との整合が図られておらず、大規模地震発生時における応急業務に影響を及ぼすことが危惧されます。現在、滋賀県においては、国が南海トラフ巨大地震の被害想定の見直しを公表したことを受けて、今年度から地震被害想定調査に取り組まれており、その結果は相互に補完しあう当該両計画にも影響を及ぼすものとなります。調査結果は令和9年度にかけてまとめられることから、この機会を契機として、「災害時大津市職員行動マニュアル」のあり方についても、抜本的に見直されることを提言するものです。非常時優先業務に係る取り決めについては、より分かりやすく、活用しやすいものとなるよう、できるだけ集約化すべきと考えますが、業務継続計画に位置付けられている「災害時本庁舎・市施設管理マニュアル」を長期間に渡って形骸化させてきた理由と見直しに向けた今後の取り組み方針について見解を求めます。
2点目、非常時優先業務を行う代替施設への円滑な移転を実現するために必要となる取り組みについて。大津市は令和7年11月19日から28日にかけて、琵琶湖西岸断層帯において想定される最大震度と同等の震度6強の地震発生を想定し、各隊員の状況判断能力の向上や情報伝達・確認・対応方法の疑似的体験を目的として、本庁舎自衛消防組織災害想定訓練を実施されました。本庁舎の防火・防災管理上の必要な事項を定めた大津市庁舎消防計画に基づく訓練であり、本部隊を担う総務部管財課においては、各館分隊長より提出のあった訓練シートをもとに庁舎各館の人的・物的被害の状況について、情報を収集されたうえで初動対応の検証を行われています。今年度から訓練方法を見直されたこともあり、課題もあったと承知していますが、詳細にまとめられた結果を改善点や次年度の展望とあわせて自衛消防隊員と共有されていることを高く評価するものです。
当該訓練などを通じて災害対応力の強化が図れることを期待するものですが、本館と別館については、大規模地震発生時に庁舎としての機能を確保できるだけの耐震性能を有していません。国土交通省が制定した「官庁施設の総合耐震・対津波計画基準」では、耐震安全性が建物用途に応じて分類されており、構造体についてはⅠ類からⅢ類と定められています。市役所庁舎は災害応急対策に必要な施設であり、大津市公共施設の耐震化推進要領では災害時の重要性を踏まえてⅠ類に位置付けられており、耐震安全性の目標は、「大地震動後、構造体の補修をすることなく建築物を使用できることを目標とし、人命の安全確保に加えて十分な機能確保が図られている」とされています。
ちなみに、平成30年度にまとめられた本館整備検討業務報告書では、耐震性能が不足している主な理由として、耐震要素である壁量が少ない、階段室の壁式構造は構造的な耐力が期待できない、床面がスリット状に分断されており、地震時の水平力を十分に架構に伝達することができない、地下1階の壁量が多く、地上階に壁が少ないため、1階において建物の高さ方向の剛性(固さのバランス)の差が大きくなり、耐震性の評価において不利となっていると評価されています。本館においては平成22年度に高弾性材料を合計92本の柱に巻き付ける耐震補強工事が行われていますが、建物の倒壊を防止し、人命の安全を確保することを目的としており、大津市公共施設の耐震化推進要領で定める耐震性能の目標値は確保できていません。なお、別館においても平成18年度に1階に耐力壁を増設する耐震補強工事が行われたものの、本館同様の課題を有しています。

業務継続計画非常時優先業務編において、建設部建築課は庁舎等公共建築物に係る被害状況の把握及び応急対策の立案・実施に関すことについて、必要人数を1日6名と見込まれ、3時間以内に業務を開始することを目標とされています。大津市受援計画における受援対象シートでは、同様の前提において、他自治体の建築技術職員や建築技術職員OBに応援を要請することを想定されていますが、大規模地震発生直後、複数ある本庁舎建物を対象として、応急危険度判定に係る受援体制を構築することは極めて困難であると危惧するものです。市民ならびに職員の安全を確保するためにも、代替施設への移転に向けた判断はできるだけ迅速に行う必要があると考えますが、原則、2人1組になって応急危険度判定を行うにあたり、勤務時間の内外、夜間の時間帯での活動について、それぞれどの様な方針を持たれているのでしょうか。現状における課題認識とあわせて見解を求めます。
また、本庁舎各館で応急危険度判定が実施されている間、勤務時間中の発災であれば、職員の皆さんは館外に一時避難、勤務時間外の発災であれば、一時待機されることになると認識しています。庁舎としての耐震性能が不足する本館と別館については、あらかじめ代替施設が部署ごとに定められていますが、判定の結果によっては、職員の入館が困難になることも想定されます。大津市はどこまでの事態を想定し、業務継続計画の実効性を高めようとされているのか、見解を求めます。
避難所に指定されている小中学校体育館においては、「避難所施設被害状況チェックリスト」を活用のうえ、施設管理者や避難所担当員で判断がつかない場合には、大津市と避難所施設を対象とした応急危険度判定業務(セーフティチェック)に関して協定を結ぶ公益社団法人滋賀県建築士会大津地区委員会、同湖西滋賀地区委員会、一般社団法人滋賀県建築士事務所協会に所属する被災建築物応急危険度判定士が建設部建築課からの連絡を受けて現地に駆けつけ、応急危険度判定を行うことになっています。毎年度、継続して開催される避難所担当員研修には、令和5年度から施設管理である教職員も参加されており、昨年の12月には大津市と協定を締結する当該団体との共催により、応急危険度判定に特化した訓練が実施されました。私自身も応急危険度判定士として参加しましたが、大規模地震発生時における災害対応力のさらなる強化につながるものであったと評価するものです。
本館と別館が使用不可となった場合を想定し、業務継続計画で設定されている代替施設ならびに災害対策本部が設置される新館が使用できない場合には、外部からの支援者の活動スペースとなる皇子山陸上競技場や皇子山球場の活用が見込まれています。業務継続計画本編において、「所管施設の管理保全及び被害調査・報告」が非常時優先業務に含まれますが、被災建築物応急危険度判定士の資格を有されない施設管理者はどの様な判断基準のもとで建物の安全性を確認されるのでしょうか。避難所に指定されている小中学校体育館における取り組みを参考にされるなど、対応手順をあらかじめ明確にされておくべきでないでしょうか。本館と別館については、大規模地震発生時に庁舎としての機能を確保できるだけの耐震性能を有していないことを踏まえ、代替施設への移転に係る訓練を新たに実施されることついて、あわせて見解を求めます。
答弁:危機管理監
1点目の災害時大津市職員行動マニュアルのあり方についてでありますが、平成17年度に「災害時大津市職員行動マニュアル」を策定して以降、東日本大震災などの大災害を受けて、災害対策基本法の改正など国からの通達等により、本市として業務継続計画や災害時受援計画の策定を優先してまいりました。その上で、本市の防災に関わる各種計画全体の体系的な見直しの必要性は認識しており、現在、時期も含め整理しているところです。
また、現在、滋賀県が地震被害想定の見直しを進めていることから、今後、本市におきましても滋賀県と整合が図れるよう、地域防災計画をはじめ、防災に関連する各種計画について改訂する予定であり、各種計画の整合性の確保や廃止等を含め、本市防災関連計画の体系化を図ってまいりたいと考えております。
次に、2点目の非常時優先業務を行う代替施設への円滑な移転を実現するために必要となる取組についてのうち、3つ目の大規模地震発生時に本庁舎等が使用できない場合の代替施設の施設管理者における建物の安全性の確認や訓練についてでありますが、本庁舎が被災し、使用できない場合の代替施設のセーフティチェックについては、施設規模や種類により、資格を有しない職員が安全性を判断することは非常に困難であることから、滋賀県が締結している建築物応急危険度判定士の派遣に関する協定等に基づいて、有資格者に対して要請することが有効であると考えております。また、代替施設への移転に係る訓練を実施することにつきましては、他都市の先進事例等を参考に研究してまいります。
答弁:建設部長
2点目の、非常時優先業務を行う代替施設への円滑な移転を実現するために必要となる取り組みについてのうち、1つ目の、本庁舎建物の応急危険度判定における勤務時間の内外、夜間の時間帯での活動についての方針と現状における課題認識についてでありますが、災害対策本部の決定により実施する本庁舎建物の応急危険度判定は、日中における外観調査を基本としており、夜間の時間帯での調査には照明を確保する必要があること、また、勤務時間の内外や日中・夜間に関わらず、震度5強以上の地震が発生した場合や、著しい損傷が見受けられる場合には、判定が完了するまで、職員が庁舎から一時退避する必要があることや、判定する職員の安全を確保することなどが課題であると考えております。
答弁:総務部長
2点目の非常時優先業務を行う代替施設への円滑な移転を実現するために必要となる取り組みについてのうち、2つ目の庁舎本館及び別館の代替施設への入館が困難になった場合の業務継続計画の実効性についてでありますが、本市の業務継続計画では庁舎本館及び別館の「代替施設設定の対応方針」を定めており、本市所有施設が使用できない場合は、市内の国・県・民間施設に、市内での対応が困難な場合は、滋賀県を通じて近隣府県等に支援を要請するなど、段階的な対応を想定しております。なお、代替施設の使用にあたっては、速やかな執務環境の確保が求められることから、関係部局や機能移転先である施設管理者との間において、改めて体制の構築に努めてまいります。
再質問
細目2の3について。滋賀県に専門性を有される方の派遣を要請なされるといった答弁をいただきました。様々な事態が想定されますので、訓練で検証いただき、どういった点に課題があって、一例申し上げますと、滋賀県と認識を共有していただく必要があるかなど、しっかりと検証していただいて、訓練をしておいていただく必要があるというふうに考えます。今おっしゃっていただきました答弁の実現性を高めていただく上において、どのようにお考えいただいているのか、もう少しだけ詳しくお聞かせをいただけないでしょうか。
答弁:危機管理監
あらためて訓練について、検討すべきではないかということであったかと思っております。まずその代替施設に関しては、まずその代替施設が危険でないかどうかっていうことを、応急危険度判定士の方に判断していただくということがまずもって必要であると考えております。その上で、利用できるとなった場合に、そちらの施設への移転を実際に実施することについて、図上訓練でありますとか実地訓練等について、どのような形が最適な訓練の形であるのかということを研究する必要がまずもってあるというふうに考えております。例えで言いますと、最も実践的な職員を対象にした実地訓練をやるということになれば、本館から代替施設であります明日都浜大津やスカイプラザの方に実際に移動してみるとかいうようなことも必要になるかと思います。そのような所属がある場合、それら職員の移動のための時間を確保したりとかいうようなことが必要になるということも考えられますので、実際に訓練を実施しますとなると、閉庁日にしかできないのではないかということなど、時間外勤務などの様々な課題を整理した上で、各先進事例、先進都市等の事例を確認して研究した上で、最も効果的で効率的というふうに判断できるような訓練の実施方法を研究していきたいというふうに考えております。

