指定管理者制度を導入する施設を対象としたモニタリングのあり方について( R7. 12)
質問
1点目、第三者モニタリングを実施することについて。大津市は指定管理者制度を導入した公の施設の管理に関するモニタリングの基本的な考え方や実施方法を「大津市指定管理者制度導入施設モニタリング指針」に示しています。これまでの間、平成24年2月に策定されて以降、7度に渡って改正を重ねられ、指定管理者と施設所管課双方で活用が図られています。当該指針においては、指定管理者の更新に当たり、より高い事業効果が得られるよう、指定期間中のモニタリング・評価結果に基づき、指定管理者制度導入の効果や管理運営の結果を総括・検証し、次期選定に向けて募集要項等に反映させる必要があると記されています。検証に当たっては、利用状況(利用者数、稼働率、利用料収入)の推移、成果目標と実績、事業の実施状況等から、「施設の設置目的は達成できているか」、「経費縮減の効果は得られているか」、「市民サービスは向上しているか」等の視点から行うものとされています。また、その結果、改善すべき点がある場合は、事業内容や選定時の審査項目の見直し、利用料金制導入の有無、利益配分の見直し等について検討するものとされていますが、大津市には施設所管課自身がモニタリングを受ける制度は設けられていません。
福井市では指定管理者制度導入施設の管理運営、サービス等が適正かつ効率的に提供されているかを第三者の立場から検証し、市や指定管理者へ意見を付すことで、施設運営の効率化と利用者の利便性向上を図っていくことを目的として、第三者モニタリングを実施されています。開始されたきっかけについて調査したところ、平成20年6月6日付総務事務次官通知において、指定管理者制度の運用についての記載があり、指定管理者の適切な評価を行うに当たっては、当該施設の態様に応じ、公共サービスについて専門的知見を有する外部有識者等の視点を導入することが重要であるとの記載がなされており、平成21年から22年度の試行を経て、平成23年度から本格実施されているとのことでした。第三者モニタリングの主体は、付属機関として条例に規定されている福井市指定管理者選定委員会が実施されています。施設の管理運営状況を指定管理者が自ら評価する「指定管理者モニタリング」と指定管理者からの定期的な報告をもとに、管理運営が適正に行われているかを現地調査により確認する「所属モニタリング」の結果を踏まえ、指定管理者の管理運営やサービスが適正かつ効率的に行われているかどうか、施設所管所属が適切に指導監督をおこなっているかどうかを評価されています。施設所管所属は、第三者モニタリングの結果を参考に、指定管理者に対する指導を行い、以降の施設運営に反映していくほか、当該施設における指定管理者制度継続の是非についても検証されています。
福井市では53の施設で指定管理者制度を導入されており、指定管理者選定年度の前年度を目途に第三者モニタリングを実施されています。その結果は、毎年実施されている所管所属担当者説明会で周知され、指摘された事項等の共有を図られており、翌年度に行われる次期の選定にあたっては、第三者モニタリング時からの改善状況等について、あらためて確認が行われています。第三者モニタリングの結果はホームページでも広く公開されており、管理運営体制の見直しや市民サービスの向上に効果的に寄与する取り組みであると高く評価するものです。
市民サービスのさらなる向上と指定管理者制度を導入する施設における管理運営の適正化をより効果的に図ることを目指し、大津市においても第三者モニタリングを実施されることを提言するものです。第三者モニタリング制度に対する評価と実施に向けた今後の方針について見解を求めます。
2点目、ユニバーサルデザイン等への配慮について。私はこれまでの間、大津市差別解消支援地域協議会構成団体の一員である公益社団法人滋賀県建築士会大津地区委員会の一員として、大津市が実施する公共施設バリアフリーチェックに参加してまいりました。同チェックは平成30年度から実施されており、移動等の障壁となっている箇所を確認し、施設所管課と共にさらなるバリアフリーを推進しようとするものです。指定管理者制度が導入される施設においても実施されてきましたが、私自身も参加する度に他の参加者からの指摘や提言により、ユニバーサルデザインやバリアフリー、合理的配慮のあり方について理解を深めさせていただいています。
大津市指定管理者制度導入施設モニタリング指針が定めるモニタリングチェックシートに「ユニバーサルデザイン等への配慮」が評価項目として設けられています。「ユニバーサルデザイン、バリアフリーへの配慮、障害者に対しての合理的配慮の推進等に努めていたか」を評価の視点とされており、関係書類、実地調査をもって確認すると定められていますが、具体的にどの様な書類、また、実地調査はどの様な方針のもとで実施されているのでしょうか。また、大津市が独自に作成された「障害者に対しての合理的配慮の提供事例集」はどの様に活用されているのでしょうか。モニタリングでの気づきを当該事例集に適宜反映され、共生社会のさらなる実現を目指すことについて、見解を求めます。
3点目、南海トラフ地震臨時情報発表時における施設管理運営のあり方について。大津市指定管理者制度導入施設モニタリング指針が定めるモニタリングチェックシートに「緊急時のマニュアルが整備され、定期的に訓練等を行うなど、職員への指導徹底を図っているか」との評価項目が設けられています。当該評価項目に南海トラフ地震臨時情報発表時の対応は含まれているのでしょうか。大津市は「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」において、防災対策推進地域に指定されていることから、「南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドライン」に基づき、市民や事業者に対して命をまもる行動をとるよう促していく必要があります。大津市は指定管理者とどの様に連携を図りながら対応策を講じておられるのか、あわせて答弁を求めます。
答弁:総務部長
1点目の第三者モニタリングを実施することについてでありますが、第三者によるモニタリングについては、モニタリングの範囲を専門性の高い分野に絞るか否かなど、その実施手法によって有効性や効率性が変わってくることから、一概に評価することは困難であります。本市におきましては、まずは、現在の形でのモニタリングにおける課題の整理と必要に応じた改善を図ることを優先すべきと考えていることから、第三者モニタリングの導入については検討しておりません。
2点目のユニバーサルデザイン等への配慮についてでありますが、モニタリングの実施に際しては、確認内容として書類及び実地調査を挙げていますが、確認すべき書類や実地調査の際の視点についての具体例は示しておらず、各施設所管所属の判断により評価しているところです。また、「障害者に対しての合理的配慮の提供事例集」の活用状況については確認できておりませんが、必要に応じて事例集に掲げる視点を参考にするよう周知してまいります。
3点目の南海トラフ地震臨時情報発表時における施設管理運営のあり方についてでありますが、モニタリングの際の評価においてどのようなケースを前提としたマニュアルを整備すべきかについては具体例を示しておりませんが、南海トラフ地震臨時情報が発表された際の対応については、あらかじめマニュアルを定めておく必要があると考えており、南海トラフ地震臨時情報防災対応ガイドラインに基づく対応が適切に図られるよう、各施設所管所属に促してまいります。

