塩漬け土地の解消に向けた取り組みについて( H22. 2)

質問:石山寺保管所用地を必要とした理由と今後の維持、活用について

 平成12年11月27日、大津市は大津市自転車等の放置防止に関する条例に基づき撤去された自転車等の保管、返還場所として、また市道上に放置された自動車の保管場所として活用するため、市内工務店が保有する石山寺四丁目の土地1,982.77㎡の買収を大津市土地開発公社に依頼し、同日付で覚書が交換された。同年11月30日には、契約金額1億4,375万825円で土地売買契約の締結が依頼され、代金は当該用地に設定されている根抵当権、抵当権の抹消登記が行われた後、売買契約締結と同時に支払うとされ、12月25日には市内工務店から大津市土地開発公社に所有権移転がされた。



 現在、土地開発公社所有のまま石山寺保管所として利用されていますが、大江保管所及び唐崎保管所は借地であるのにも関わらず、なぜ石山寺保管所だけは保有しなければならなかったのか。平成13年8月1日から自転車等放置禁止区域に指定され、当該保管所の撤去対象区域となった膳所駅前の状況と、市道に放置された自動車の状況が当時どうであったのかを踏まえ、本市の見解を問う。

答弁:建設部長

 平成11年12月20日に大津市自転車等の放置防止に関する条例を制定した以前より、市内の駅前広場を含む駅周辺には不法駐輪や放置自転車が大変多く、歩道にはみ出すことにより障害者や健常者の通行障害が日常化し、問題になっている。市議会においても、多くの質疑をいただき、放置自転車や放置自動車の対策は喫緊の課題であった。このことから、市議会ではこの問題の解決に向け、先進地を積極的に視察され、担当部課にも多方面の御教示をいただいたところである。その結果、放置自転車については自転車放置禁止区域を指定し、区域内に放置された自転車については撤去できるよう条例を定めることができた。このような中、条例の必須条件である自転車駐車場の増設、放置自転車や放置自動車の一時保管場所の確保という問題が浮上した。この保管所は、撤去された放置自転車や放置自動車を一定期間保管し、できるだけ所有者に返還するためのものである。立地条件としては、1.とりに行くのに便利なところ、2.自転車については限りなく駅に近く、放置場所からそう遠くないところ、3.自動車もとりに行くのに便利なところ、4.ある程度の広さがあるところ、5.可能な限り安価であるところが挙げられる。

 また、設置箇所だが、放置場所からでいえば各駅周辺となるが、箇所数が多くなり、少なくとも東部、中部、北部に1カ所程度必要であると考えた。適地をせんさくしたところ、東部では京滋バイパスのけた下に場所が確保でき、北部では適切な土地がなく苦慮したところ、唐崎駅近くのJRけた下に用地が確保できた。このことから、ようやく条例が施行することとなった。条例の効果は大きく、撤去区域を設定することのできた駅前で約800台あった放置自転車が、30台程度まで減らすことができた。

 しかし、膳所駅については北部、東部の保管所から遠く、この駅を対象とした中部の保管所の適地が見つからず苦慮した。中部については、保管所の条件を満たす土地をせんさくした結果、1、JR駅からバスで15分程度であり、バス停も目の前にある、2、当時名神側道である市道幹1051、1052号線の整備に着手しており、完成の暁には広域的に利用できる、3、県道に面しており、搬入、搬出しやすい、4、面積は少し広いが放置自動車を考慮できる、5、鑑定評価を受け、事業費として妥当である等の条件が整っていることから、当該地を選定し用地を取得したものである。これにより、膳所駅前についても、平成13年8月1日に自転車等放置禁止区域に指定をすることができた。禁止区域指定前の膳所駅周辺の放置自転車台数は、平成12年度で40台から50台程度であったが、指定区域後激減し、数台が放置される程度となった。

 次に、放置自動車については、平成13年度に年間100台を超す車両を道路法に基づき処分をしたが、警察との連携も深めるとともに、原因者追及の家庭訪問を近隣自治体にまで広げることにより、平成19年度以降は年間公費処分台数が平均3.7台まで減少させることができた。当該保管所の活用により、両事業とも一定の効果があったと判断している。

質 問

 平成20年度において、唐崎、大江、石山寺の3保管所に移動保管された自転車等の台数は1,508台、このうち返還された台数は442台にとどまり、返還率は約29%にとどまっている。石山寺保管所における返還率は、これより低い約13%であり、膳所駅前周辺から撤去される台数そのものも自転車29台、原動機付自転車1台と少なく、返還された台数も自転車3台、原動機付自転車1台と、他の保管所に比べて極端に少ない数字となっている。長年に及ぶ啓発の成果と評価できるが、昨年の夏に作成されました公社資産買い戻し予定調書の中でも、立地が遠く不便であることから、放置自転車、バイクの所有者の返還率が低迷しているとされ、今後も向上の見込みは低いと予想される。放置された自転車及び原動機付自転車の大半は、大江、唐崎保管所から運び込まれた保管期日60日を超えた処分待ちのものが大半であり、放置自動車については大津市の迅速な対応によって自主撤去されるものが多く、大津市が撤去、処分せざるを得ないものについても、大半は石山寺保管所に運び込まれることなく対応されていると伺っている。

 現在、自転車等の放置禁止区域における啓発、撤去、返還業務はシルバー人材センターが受託をされ、石山寺保管所においても13時から16時までの間、日曜、祝日、年末年始を除き2人の職員が常駐されているが、総合計画で位置づけされている「快適で利便性の高いまちの実現」を目指す上で、この保管所をどのように維持活用していくべきと考えているのか、本市の見解を問う。

答弁:建設部長

 放置自転車対策事業は、交通安全及び景観保持のため、啓発活動、撤去による放置自転車減少を目指す事業であり、啓発により撤去自転車は平成19年度から20年度に約11%減少している。しかし、当事業は10年経過したが、放置自転車は現在も毎日二、三十台発生している状況である。また、返還時にも、所有者に対し放置の啓発を行い、放置行為そのものの根絶を図るため、返還率を高めるよう努力をしている。

 このことから、少なくとも市内の3カ所に保管所を分散させ、少しでも利便性を高める必要があると考える。当該保管所は、今回国の地域活性化・公共投資臨時交付金を活用し、土地開発公社から土地を引き取ることとしており、その事業目的とする保管所とともに道路維持管理も含めた範囲の中で、最大限の有効利用を行っていきたい。総合計画についてだが、基本政策である快適で利便性の高いまちの重点化の視点に、歩行者、自転車ネットワークの整備があり、歩行者空間や景観を乱す放置自転車対策が、この実現に向けた重要な施策の一つと考えている。

 

 

(将来負担の軽減に向けた取り組みについて)

質 問

  大津市土地開発公社は、大津市と覚書を交換してから一月足らずで土地を取得したにも関わらず、本市はこれまでに4度買い取りの期日を変更され続け、同公社に支払う利息は1,900万円を超えてしまった。 一般財源のみで引き取ると計画されていたが、当時の財政状況を申し上げるまでもなく、計画そのものに無理があったと考える。 
 今回の2月補正予算、地域活性化・公共投資臨時交付金を活用し、土地開発公社から当該用地を買い取る予算を計上されており、事務費、支払い利息を含めた全額が交付されることから、堅田内湖公園整備事業用地、さがみ川老人憩の家移転整備用地の引き取りとあわせ、大津市土地開発公社の経営健全化に資する予算措置であると理解しているが、何が原因で早期に買い取ることができなかったのか、大津市はしっかりと検証を行い、その結果を先に策定された、「土地開発公社の経営健全化に関する計画」の実現に生かすべきと考えるが、本市の見解を問う。

答弁:建設部長

  当該保管所用地の引き取りについては、事業の必要性により一般財源としての用地買収が先行し、結果的に財源の確保が後回しとなり、引き取り期日を4回変更した。この間、財源を確保するため、国において平成12年度に創設されたまちづくり総合支援事業等での対応を検討してきたが、残念ながら事業化まで至らなかった。 
  今後は、このようなことがないよう、事業の必要性もさることながら、十分に資金計画も踏まえて、計画的かつ慎重に事業着手をするよう努めていく。

答弁:総務部長

  本市が土地開発公社の資金を活用し、公共用地を先行取得する場合、都市計画道路などの国庫補助事業を円滑に推進するため公社に依頼する場合と、補助対象事業以外でも公共施設や代替用地として依頼する場合がある。前者の場合は、国庫補助金や市債を財源に引き取り時期も計画的に行うが、後者の場合は、引き取るための財源の手だて、建設や整備の時期等の問題もあり、長期の保有となっている事業もある。 
 今回の2月補正での措置は、国の経済対策もあり、財源確保ができたことから、公社の長期保有資産の解消に大きく貢献し、かつ地域の活性化につながるものである。 
 今後は、昨年に策定した「土地開発公社の経営の健全化に関する計画」に基づき、まずは平成24年度までに引き取る計画の用地について、財源の確保を図りながら、着実に引き取りを行っていく。

再 問

 建設部と総務部それぞれから答弁があったが、本来であるならば、この質問に対して包括的に答弁される方がおられるのではないか。買い取りが行われなかった要因の一つに、公社所有のまま供用が開始され、今日に至ったことがあげられる。この行為については、建設省都市局長、自治大臣官房長官通知、公有地の拡大の推進に関する法律の施行についての中でも、「買い取りに要した費用を長期にわたって繰り延べることは、土地開発公社の健全な運営を図る観点から不適切であることから、その改善に努めること」とされており、この用地はまさにこれに該当する事例であったと考える。覚書の変更理由も、「市の予算措置の事情によるもの」という一言だけ。これで4回繰り返されて、金利が1,900万円まで増幅している。そもそも公社の理事会にかかる前の段階で、だれがチェックされているのか。当時の三役ではないのか。今でしたら二役です。そういった方々がチェックされているにも関わらず、こういう状況になっているということをもっと真摯に受け止めるべきです。
 先ほどの質問で、計画そのものに無理があったのではと申し上げたが、誰もそのことに対して指摘されなかったことが一番の問題であったと考える。冒頭の答弁の中で、この土地を選定される条件の中で、鑑定評価を受け事業費として妥当であることが含まれていたが、価格決定の根拠となった不動産鑑定書には、不動産鑑定評価基準において記載が義務づけられている鑑定評価を行った年月日が記載されていない。こういうことを踏まえても、トップ自らが今日に至った経緯を説明され、検証され、今後に反省を生かしていくべきではないかと考え、再度見解を問う。 

答弁:総務部長

 公社の先行取得については、今日では議会で債務負担行為ということで審議をいただくよう、平成21年度から改正をして、審議をトータル的にお願いしている。これらの引き取りについては、予算要求という形で、それぞれの部局から総務部長を経由して提出をされるわけだが、最終的には今日の財政状況の中で、引き取るための財源の手だてと全体のサービスの提供のあり方の中で、結果的に先送りになった事業もある。 それらが集積されて、現在では公社の長期保有資産としては約72億円という現状であり、それらを踏まえて経営計画を策定した。今後はこの経営計画に基づき、計画的に引き取っていく。

 

 

(公有地の適切な生かし方)

質 問

 現在、大津市土地開発公社において塩漬けとなっている土地はこのほかにも存在する。今後、行政目的が明確でなくなった土地については、他事業への転用を前提にして土地開発公社から買い取りを図るべきであり、場合によっては土地開発公社に対して民間への直接売却を依頼すべきと考える。
時価と簿価の差額をどういった形で補てんするのか等について、具体的な検討を開始すべきと考えるが、本市の見解を問う。

答弁:総務部長

 土地開発公社の保有資産は、現在の状況は成安造形大学用地を除くと、すべて市からの受託事業によるものであり、それぞれが現時点でも行政目的があると考えている。また、土地開発公社の経営の健全化に関する計画の策定を機に、公社の先行取得用地に対するそれぞれの所属の意識も変わってきた。したがって、何よりも今大事なことは、この計画の着実な実行であり、このため最大限の努力をしていきたい。

再 問

公社資産買い戻し調書と温度差があるように思える。検討は大津市土地開発公社健全化対策委員会において前向きに行っていくのか。

答弁:総務部長

  先ほどの経営計画の中で、検討委員会の設置も記載しており、既に昨年の12月に開催をし、新年度予算での公社からの引き取り、あるいは今後の交付金活用による用地の引き取り等についても検討し、既にさせていただいた。今後ともこの経営計画が順調にいくよう、検討委員会を開催し、実行に移していきたいと思っている。

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