小規模随意契約のあり方について( H21. 11)

質 問

 平成20年度の決算特別委員会において、129万9,900円で随意契約された工事が多数存在することが明らかとなった。大津市財務会計事務の手引では、工事金額が130万円を超えた場合には入札を行って業者を決定することになっており、あらかじめこの金額が意識されての結果であったのか、129万9,999円という契約まで存在した。大津市工事検査要綱によると、検査員による検査の対象となるのは契約金額が130万円を超える建設工事であり、仮に入札を回避する目的で工事が分割されてしまった場合、本来行われるべき検査が行われないまま引き渡しを受けることになる。小額随意契約は、行政需要に対し迅速に対応できるメリットがある反面、場合によっては契約の公平性、透明性、競争性、経済性等を失わせ、また本来必要な検査が実施されないおそれがあり、近隣都市においてもさまざまな問題が生じている。

 大阪市においては、今年の4月、大阪市入札契約制度改善検討委員会のもとに不適正契約等調査部会が設置され、工事契約実績のある関係部局の随意契約に関する調査を実施された。9月には、51事業のうち11事業で入札を実施していれば、より低廉な価格で契約できた可能性は否定できないとして、過去の入札談合事件の判例を基準に、契約金額2,304万円の1割に当たる約230万円を損害金として算定、関係部局の職員に損害金の自主的な負担を求めるべきとの判断がなされた。また、京都市においては、この11月、平成18年度から20年度にかけて小規模修繕として発注された学校改修工事約2億3,000万円を対象に住民訴訟が行われた。競争入札にすべき工事を分割して小規模修繕にして随意契約にした結果、競争性が失われたものとして、工事金額の10%、約2,300万円を担当職員らに請求することを京都市長に求めるもので、これに先立ち行われた住民監査請求における監査結果は、具体的な損失が市に発生したと認められないとしつつも、競争入札を免れた違法性は認めるものであった。

 現在、大津市においては、130万円以下の工事及び50万円以下の委託について随意契約締結しようとするときには、主管課で業者を選定し、原則として2者以上から見積書を徴収することになっている。私は、適法妥当な随意契約の中に不適切な随意契約が混在する現状を早急に改善すべきと考えるが、大津市は現状をどのように認識され、改善策を講じていかれるつもりなのか。適正化に向けた検討委員会を庁内に設置され、随意契約に特化したガイドラインを作成されることも効果的であると考え、本市の見解を問う。

答弁:総務部長

 地方自治体が随意契約を締結する場合、適用法令を明確にする必要があり、小規模随意契約、いわゆる小額工事における随意契約の適用根拠は、ほとんどが地方自治法施行令第167条の2第1項第1号である予定価格が130万円以下の工事であり、伺書に該当法令を明記させている。さらに、適正な運用が図られるよう、毎年年度当初に契約検査課から各所属あてに、見積書は2者以上徴取することや、特定の業者に偏ることのないよう可能な限り施工場所の近隣の業者を選定するなど、指導をしている。また、その工事検査につきましては、小額工事の監督並びに検査業務取扱要領に基づき、適正な運用に努めている。

 しかしながら、平成20年度の小額工事の契約において、議員御指摘のとおり、一部不適切な契約事例があった。その背景には、職員の不適正であるという認識の欠如や知識不足、また現場対応を急ぐ余りやむなく分割発注になったことが原因であると考えている。このことから、早急に小額工事の発注に当たってのガイドラインを作成し、発注担当部局における適切な発注をするという意識の喚起とあわせて、契約検査課のチェック機能を高め、さらなる適正化に努めていく。

再問

 危機感が足りないのではないか。契約検査課のチェック体制を強化するとの答弁であったが、具体的にどういう形で、いつまでに強化するのか。

答弁:総務部長

 契約検査課のチェック機能は引き続き強化する必要があるが、小額工事については、基本的には発注から検査まで一連の事務処理をそれぞれの発注課で行っている。このため、その発注が円滑かつ遵法に基づく手続で出来るよう、現在、部内でガイドラインを策定中である。一日も早くそのガイドラインが各それぞれの発注課に行き、遵法に基づく手続ができるよう、あわせて指導していく。

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