大津市市民活動センターの今後のあり方について( R7. 12)

質問

大津市は令和8年4月から大津市市民活動センターの運営手法を指定管理者から市が直接に管理・運営を行う方法に見直す方針を示しています。実現のために必要となる条例の改正案が今期通常会議に提出されていることを踏まえ、市直営による大津市市民活動センターの管理・運営体制と同センターに設置されているスモールオフィスのあり方ついて、それぞれ質問を行います。
 
はじめに、市直営による大津市市民活動センターの管理・運営体制について。大津市は条例改正に伴う重要案件説明資料にて、新たな拠点となる市民活動センターは、地域団体、市民団体、事業者が共につながり、交流を促進していくための市民公益活動のプラットフォームとなる場所として、また、多様な主体が行う様々な活動をつなぎあわせ、「点」から「線」、「面」の活動につなげていけるよう、中間支援機能の役割を果たせるよう取り組んでいくと示されています。また、それぞれの活動が相乗効果を生み、市民公益活動の活性化につなげるとされていますが、このことは、指定管理者制度のもとでは実現できない、また、大津市が直接に管理・運営を行えば実現できる、といったものではないと考えます。

 
ここで、中間支援組織の運営を指定管理者制度から市による直営での管理・運営に見直された守山市の取り組みを紹介させていただきます。守山市は市民と行政による協働のまちづくりをめざして、平成16 年に守山市民交流センターを設置されました。平成 19年以降、NPO法人が管理・運営と中間支援機能を担ってこられましたが、令和3年度からは市の直営による管理・運営に戻されています。守山市においては令和55月から11月にかけて、市民活動団体との協働を推進するにあたり、中間支援組織の機能や運営方法等について検討するため、「中間支援組織あり方研究会」を設置されました。令和62月に同研究会によって取りまとめられた「守山市におけるこれからの中間支援組織のあり方に関する提言」より、以下、引用させていただきます。
 
これまでの守山市の中間支援組織は、以下のような理由から中間支援が十分に機能しているとは言えない。指定管理者制度にて、NPO法人が管理運営と中間支援機能を担っていた時期においては、(1)施設管理や貸館業務の業務負担が大きく、中間支援まで十分に担えなかったこと、(2)(1)に関連し、中間支援を担える専門的人材が不足していたこと、(3)NPO法人の構成員の高齢化が進み、継続することが困難となったことが挙げられる。その後の市の直営の時期においても、職員の定期異動のため、(1)市民活動団体との継続した関係性が構築できないこと、(2)中間支援に求められる専門性が担保できないといった課題が指摘されている。いずれの時期(運営主体)においても、市民活動へのエンパワメントを継続して行うための体制に至っていない。
 
報告書からの引用は以上となります。
 
また、中間支援組織が有効に機能するには、当該組織の体制や仕組みを動かす人材こそが重要になると提言されています。特に、中間支援組織によるアプローチとして重要な伴走型支援を可能にするためには、長期的に市民活動団体に寄り添いながら関わっていく姿勢や、市民活動・まちづくりに関する知識、相談内容に応じた適切なコーディネートや解決策の提示ができる能力を有する人材が必要であるとされています。次年度以降、直営による管理・運営を目指す大津市においても、参考にされるべきと考えます。守山市に求められる中間支援のあり方として示された(1)伴走型支援を可能とする体制の構築、(2)テーマ型組織と地縁型組織のいずれもサポートする中間支援組織、(3)福祉や環境など他の分野の地域づくりとの連携、(4)民間企業(起業家)や中間支援機能を有する団体を含めた多主体協働については、大津市市民活動センターにおいても同様に求められることであると考え、質問に先立ち取り組みを紹介させていただきました。
 
私は、大津市市民活動センターの運営手法を指定管理者から市が直接に管理・運営を行う方法に見直すこと自体に反対するものではありません。しかしながら、コーディネーター1名、専門的な相談等の対応として、アドバイザーを月2回程度、外部組織に要請する体制でこれまで以上に中間支援機能の拡充を図ることはできるのでしょうか。事業を所管する市民部自治協働課は大津市市民活動センターに併設されておらず、貸館に係る業務についても、コーディネーターが担われると説明を受けています。また、大津市は多様化する住民ニーズにより効果的・効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用し、住民サービスの向上を図るとともに、経費の削減を目的として、指定管理者制度を導入してきました。大津市が移行を目指す直営での管理・運営は同制度のもとで要してきた費用を前提に行われるのでしょうか。同センターの管理・運営体制については、コーディネーターを務められる職員の育成を継続的に図りながら、中間支援組織に求められる機能と今後のあり方を踏まえて構築されるべきと考えます。大津市はどの様な方針のもとで大津市市民活動センターにおける管理・運営体制の構築を図っていくつもりなのか、見解を求めます。
 
次に、スモールオフィスのあり方について。市民活動センターは市民公益活動に係る事務を行うための施設として、16区画からなるスモールオフィスを設置しています。使用申請の審査にあたっては、これから活動を開始しようとする団体、あるいは活動開始後3年未満の団体を対象とする「インキュベート枠」と活動開始後3年以上の団体と継続使用を希望する団体を対象とした「パワーアップ枠」に区分して募集を行うことが要綱に規定されています。この項の質疑・一般質問を行うにあたり、同センターが開設された平成18年度から今年度に至るまでのスモールオフィス使用状況について、施設所管課である市民部自治協働課に聞き取り調査を行いました。平成18年度、大津市は入居団体を募集するにあたり、インキュベート枠とパワーアップ枠、それぞれ8枠ずつ設けました。募集の結果、インキュベート枠は10団体、パワーアップ枠は4団体から応募があり、インキュベート枠で不足する2区画については、応募枠に満たなかったパワーアップ枠から確保され、開設初年度を迎えられています。今年度においても変わらずインキュベート枠とパワーアップ枠は設けられているものの、平成21年度分の入居者募集以降、上限区画数を設けての入居者募集は行われていません。また、前年度の入居団体募集の案内には、ヒヨコのイラストと共に「スモールオフィスは市民公益活動団体のインキュベート(ふ化器)施設です」と記されていますが、令和になって以降、インキュベート枠での使用実績は昨年度、年度途中で入居された1件のみであり、今年度においては今期通常会議開会日時点でゼロ件と承知しています。
 
京都市が開設する京都市市民活動総合センターは様々な社会課題の解決に向けて自主的に活動する団体の皆さんをサポートするための拠点として、スモールオフィスを設置されています。NPO・市民活動団体、ボランティアグループなど、社会的課題に取り組む非営利団体であれば法人格の有無を問わず活用でき、利用団体の選定にあたって評価基準を設けておられます。以下、京都市が定めるスモールオフィス募集要項より引用します。
 
【必要性】スモールオフィスを利用して活動を行う必要性があるか。

【公益性】事業の成果が社会全体の利益につながるか。

【継続・発展性】団体が実施する事業に継続性、発展性があるか。

【公開・透明性】どのような方法で情報を公開・発信し、市民からの共感や支援を獲得していくのか。

【成果目標】利用1年後の成果目標がはっきりしていること。
 
引用は以上となります。
 
京都市市民活動総合センターに設置されているスモールオフィスは、立ち上げ期・成長期にある団体など、利用団体それぞれの段階に応じた今後の事業継続・発展の支援を目的とされています。そのため、応募団体に対するスモールオフィスの必要性に重点を置いた選定が行われています。募集は年に4回行われており、締め切りは4月、7月、10月、1月のそれぞれ末日となっています。なお、京都市においては、東山いきいき市民活動センターにもスモールオフィスが設置されており、両施設とも、京都市市民活動センター条例の規定により、毎年度申請することによって、継続して5年までの利用が可能となっています。指定管理者によって管理運営されている、京都市市民活動総合センターの相談体制や情報発信は大変充実しており、大津市においても参考にされるべきと考えます。以上を踏まえ、以下4点質問を行います。
 
1点目、大津市は協働によるまちづくりを推進するにあたり、どの様な目的と運営方針のもとで、スモールオフィスにインキュベート枠とパワーアップ枠を設けているのでしょうか。これまでの間、使用期間に上限を設けてこなかった理由とあわせて答弁を求めます。

 

2点目、スモールオフィスにおいては、長年に渡ってインキュベート枠での使用実績がありませんでした。大津市はその理由をどの様に分析・評価され、次年度以降における募集要項の策定に活かしていこうとされているのか。見解を求めます。

 

3点目、スモールオフィスの利用料金は1区画・ひと月につき5,260円、また、その使用期間がひと月に満たない月の利用料金の上限額は、日割りによって計算した額にすると条例で規定されています。今年度においては、希望する団体が2区画を使用されている現状においても区画に空きがあります。募集要項に空き区画がある場合には、再募集を行う場合があると記されているものの、今期通常会議が開会された時点において、大津市市民活動センターによる追加の募集は行われていません。事前の聞き取り調査によると、区画の空き状況に応じて、4月以降にあらためて募集を行われていた年度もあったそうです。スモールオフィスに空き区画があった場合、大津市はどの様な方針のもとで追加募集を行うことになるのか。これまでの対応と次年度以降の対応方針とあわせて見解を求めます。

 

4点目、スモールオフィスにおける法人登記に関する情報は、利用を検討される法人や法人化を目指す団体にとって、大変重要な情報と考えます。京都市市民活動総合センターにおいては、スモールオフィスの使用にあたり、法人登記が可能であること、また、メールボックスの使用にあたっては、法人登記や団体所在地にはできないものの、団体連絡先として活用できることが同センターのホームページに明記されています。大津市市民活動センターにおいても、スモールオフィスにおける法人登記に関する情報は、広く市民や市民活動団体と共有されるべきものと考えますが、現状の取り扱いと今後の対応方針について見解を求めます。

答弁:市民部長

1点目の市直営による大津市市民活動センターの管理・運営体制についてでありますが、市民活動センターについては、来年度からは、市職員、並びにコーディネーターや非常勤のアドバイザーの配置を検討しており、市の組織や施策との有機的な連携を図るとともに、市職員の協働に関する資質向上にも取り組んで参ります。
 
2点目のスモールオフィスのあり方についてのうち、1つ目のどの様な目的と運営方針のもとで、インキュベート枠とパワーアップ枠を設けているのかについてでありますが、インキュベート枠については、市民活動を始められるきっかけとなることを目的として、また、パワーアップ枠については、市民団体が継続した運営を行うことを目的としております。上限を設けていない理由については、利用枠を柔軟に活用してもらい、利用率を上げることを目的としてきたものです。 
 
2つ目の次年度以降における募集要項の策定にどのように活かすのか及び3つ目のスモールオフィスの空き枠の募集のこれまでの対応と次年度以降の対応方針についてでありますが、スモールオフィスの開設当初は、社会的な気運やニーズもあり、インキュベート枠としての利用があったものの、ここ数年は、本市におけるNPO法人の増加件数が横ばいであることも踏まえ、現状では、団体の継続性を重視した運用となっております。インキュベート枠に空き枠がある場合、年度末に指定管理者が募集を行った上で、埋まらない場合は、随時募集としておりましたが、スモールオフィスの枠割を含め、効果的な運営について検討してまいります。
 
4つ目のスモールオフィスにおける法人登記に関する情報についてでありますが、今後、スモールオフィスの申込みの際に役立つ情報の提供について検討してまいります。

再質問

市直営による大津市市民活動センターの管理・運営体制についてです。指定管理者制度による管理・運営から市が直接に管理・運営を行っていただく方法に見直されることによって、中間支援機能の拡充が図られるか否かというのは、大変重要な視点であると私は考えています。大津市からの説明では、コーディネーターの方が貸し館に係る業務も担っていただけるということですが、コーディネイターの方の研修であったり、また、今、答弁でおっしゃっていただいた、資質の向上というものを図っていただこうとした場合においては、自治協働課との密接な連携が不可欠になると考えるものです。
 
先ほど、守山市の事例を紹介させていただきました。守山市におかれましては、市民交流センターに市民協働課協働推進係が併設されています。先日、市民交流センターを訪問させていただきましたが、同じ建物の同じフロアに協働推進係の職員さんがおいでになられます。しかしながら、初問の繰り返しになりますけれども、大津市においては、現時点でそのような体制をとっていただくといった説明がございません。
 
改めておうかがいさせていただきますが、今の私の問題提起を踏まえて、どのような体制のもと、また、方針のもとで中間支援機能の拡充を図っていただこうとしているのか。もう一度、お聞かせいただけないでしょうか。

答弁:市民部長

改めてのご質問にお答えいたします。まず、正規職員の関わり方なのですが、物理的な配置等については検討中ではございますが、先の答弁でも申し上げましたように、正規職員が係の体制の中で現場に勤務することは前向きに検討していきたいと思っております。ですので、先ほどおっしゃられたコーディネーターが貸し館等をすることを全面的に担うというよりは、その場におります正規職員も一緒になって、そういった業務にはあたっていくことが想定できるかと思っています。
 
それから、中間支援の機能を今後どうしていくのかなんですけれども、直営にするにあたりまして、施設機能は現行のまま。それから、その他のセンター事業については、様々ご意見をいただいているところではございます。センター事業の様々なものが、今、議員おっしゃっている中間支援の大半に当たってくるとは思うのですけれども、どういったことを優先的に取り組んでいくか。市民の方々からのご意見、利用団体からのご意見、その他、様々な方からのご意見を踏まえ、また、意見交換なども踏まえながら、ここ、近日中には検討を進めていきたいというふうに思っておりますので、優先して取り組むべき事項というのは、ここ、しばらくの間に固めていきたいというふうに考えております。

再質問

貸し館業務に関して、コーディネーター以外の市の職員さんも関わっていただけるといった趣旨で答弁をいただきました。貸し館業務といいますのは、日々の業務として行っていただくものになると認識しているのですが、コーディネーターを担っていただく職員さん以外に貸し館業務を担っていただく職員の方というのは、どのような形で市民活動センターにおいでになられることになるのでしょうか。日々おいでになられるのでしょうか。そのあたりを確認させてください。また、先ほど中間支援のあり方について、改めて近日中に検討されていくということでしたが、どのような機会を持たれて検討されていかれるつもりでおられるのか。改めて答弁を求めます。

答弁:市民部長

まず職員なんですが、現地にデスクがある状態で係としての交代制になるのか、全体でということまでは今検討はしておりませんが、決まっておりませんが、現場に職員を配置することを前提に今調整を進めております。
 
2点目、中間支援の検討の方法なんですけれども、ここからセンターの事業については、丁寧なコミュニケーション、意見交換、それから、先ほども申し上げましたが、市民の方々、多くの方からのご意見を踏まえながら、進めていく必要があると思っております。そのために、意見交換、もしくは、何らかの形で利用団体の方々と個別にご意見をいただくような機会を設けて、早急に案の方、検討はしていきたいというふうに考えております。

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