ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟に向けた取り組みについて( R7. 2)
質問
1点目、創造都市ネットワーク日本への加盟について。大津市は令和7年度から10年度までを計画期間とする大津市総合計画第3期実行計画において、文化・芸術活動の推進を施策として掲げており、文化・芸術活動を通して、市民の心の豊かさと地域への愛着や誇りを育み、まちのにぎわいにつなげることを目指すこと、また、大河ドラマ「光る君へ」の放映を契機に、注目を集めた源氏物語等の文学をレガシーとして、本市の文化振興につなげることを目標としています。短歌を始めとする文学に親しむ機会の提供や古典文学に関わる取り組みに対する支援に注力する方針もあわせて示されており、新年度予算においては、おおつ文学フェスタや源氏物語入門講座の開催に係る費用が新たな事業費として計上されています。
また、文化振興事業費として「文学のまち大津」ブランディング強化事業協議会運営経費と令和8年度までの債務負担行為として、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を目指すための予算が計上されています。ユネスコ創造都市ネットワークとは、創造性を核とした都市間の国際的な連携によって、地域の創造産業の発展を図り、都市の持続可能な開発を目指すネットワークであり、各都市は同ネットワークを活用し、知識・経験の交流、人材育成、プログラム協力を行っておられます。同ネットワークは8つの創造的な分野(文学、映画、音楽、デザイン、食文化、メディアアート、クラフト&フォークアート、建築)を対象としており、日本国内ではこれまで11都市が認定されています。大津市が目指す文学分野での加盟は、令和5年10月に岡山市が初めて認定を受けてられており、令和8年2月には同分野における国際会議の開催を予定されています。
文化庁においては、文化芸術の持つ創造性を地域振興、観光・産業振興等に領域横断的に活用し、地域課題の解決に取り組む地方自治体を「文化芸術創造都市」と位置付けており、地方自治体や公益法人等によって構築されている創造都市ネットワーク日本を通じて支援が行われています。令和6年12月18日の時点で127の自治体が加盟されており、ユネスコ創造都市ネットワークに加盟している都市はすべて、創造都市ネットワーク日本にも参加されています。ちなみに、現在、事務局が置かれている高松市においては、「音楽が彩るまち 創造都市 高松」を世界へ発信し、音楽を中心としてより一層、創造都市を推進するため、ユネスコ創造都市ネットワークへの音楽分野での加盟を目指しておられます。
また、創造都市ネットワーク日本には、国際的にも先進的な文化芸術創造都市政策の研究や発信力強化を図ろうとする都市間の連携、交流、情報交換を目的として、東アジア文化都市やユネスコ創造都市ネットワーク等の国際的なネットワークの活用などを目指す国際ネットワーク部会が設置されています。令和7年1月には、丹波篠山市において、創造都市ネットワーク日本との連携強化を図るため、ユネスコ創造都市ネットワークに加盟している国内11都市の担当者ミーティングが同国際ネットワーク部会と同日同会場で開催されました。文部科学省に事務局が設置されている日本ユネスコ国内委員会おいても、文化・コミュニケーション小委員会にて、両ネットワークの連携促進について検討が行われてきたと認識しています。
創造都市ネットワーク日本については、国内の先進的な文化芸術政策を推進する自治体との交流が期待できること、また、創造都市政策に関連する調査研究等に参加し、先進的な取組の情報や新たな課題、ニーズなどを共有することができることなどがメリットとして紹介されており、滋賀県内においては、長浜市、草津市、守山市、甲賀市が参加されています。ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟申請に先立ち、まずもって、創造都市ネットワーク日本に参加されることを提言するものです。同ネットワークの活動に対する大津市の評価と参加に向けた今後の方針をお聞かせください。
2点目、庁内連携体制の構築について。文学分野でユネスコ創造都市ネットワークに加盟された岡山市においては、令和4年度に文学創造都市おかやま推進会議を設置されるとともに、岡山市教育委員会学校指導課・生涯学習課、岡山市市民協働局SDGs・ESD推進課、市民生活局文化振興課からなるユネスコ創造都市推進庁内連絡会議を立ち上げておられます。大津市においては「文学のまち大津」ブランディング強化事業協議会を設置される方針を示されていますが、ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を目指すのであれば、全庁あげての取り組みが必要と考えます。庁内連携体制を構築することについて、見解を求めます。
3点目、地域の文化資源を生かした取り組みについて。大津市は総合計画第3期実行計画において、大河ドラマの放送を契機とした源氏物語等に対する関心の高まりを、本市ゆかりの様々な文学や歴史等にも広げ、郷土愛やまちのにぎわいにつなげていくため、地域の文化資源を生かした取り組みを進めていくことを方針として示しています。近江神宮は競技かるたの聖地として広く知られており、古典文学である小倉百人一首かるたはおよそ八百年の長きにわたり、多くの人に親しまれてきました。また、俳聖と称される松尾芭蕉は大津の風光をこよなく愛し、この地で多くの俳句を詠んでいます。大津市は「文学のまち大津」としてまちづくりを推進するにあたり、短歌や俳句の魅力を地域の文化資源としてどのように評価されているのでしょうか。
また、電車と青春21文字プロジェクトの主催、大津市の共催で開催されている京阪電車石山坂本線の駅数にちなんだ「青春21文字のメッセージ」はユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を通じて、広く世界の皆様に知っていただきたい活動です。同プロジェクトへの評価とあわせて見解を求めます。
答弁:市民部長
1点目の創造都市ネットワーク日本の活動に対する本市の評価と参加に向けた今後の方針についてでありますが、創造都市ネットワーク日本は、地方自治体が取り組む先進的な文化芸術政策の研究や共有、地域の連携・協働を推進し、地方自治体などを支援されていることから、創造都市ネットワーク日本への加入を検討してまいります。
2点目の庁内連携体制の構築についてでありますが、市民部、産業観光部、教育委員会の関係所属から構成される庁内連絡組織を立ち上げ、情報共有や事業連携を図ってまいります。
3点目の地域の文化資源を生かした取り組みについてのうち、1つ目の短歌や俳句の魅力を地域の文化資源としてどのように評価しているかでありますが、百人一首や松尾芭蕉ゆかりの地である本市において、短歌や俳句は、地域においても様々な取り組みをされてきた貴重な文化資源であり、今後の取り組みでは、「文学のまち大津」を代表する文化資源のひとつとして生かしていくことが重要であると考えております。
2つ目の電車と青春21文字プロジェクトへの評価と見解についてでありますが、市民団体が自発的に開始された事業であり、ユネスコ創造都市ネットワーク加盟申請時に、取り組みのひとつとしていくことを検討してまいります。